創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

ブックレビュー

「MP38&MP40サブマシンガン」 アルハンドロ・デ・ケサダ著、 床井 雅美監訳、加藤 喬訳


 第2次世界大戦を通じてドイツ軍制式サブマシンガンの中心的存在となったMP38とMP40について多数の写真や図を用いて詳細に解説した一冊。著者と訳者は戦史や銃器の専門家で、これまでも数多くの関連書籍を手掛け、同分野への造詣が深い。

 第1次世界大戦中のドイツ軍は、塹壕戦や重火器部隊の自衛用に軽量小型で高い発射速度を備えた兵器、サブマシンガンを必要としていた。独軍の要求性能を満たし、1938年に制式化されたMP38は折り畳み式ストックを採用し、コンパクトになることから戦車・装甲車内での収納、落下傘部隊員の携行のしやすさなどの利点をもたらした。しかし暴発が発生しやすい機構が判明し、この点の解消や製造コストを下げ、大量生産に適応するなどしてMP40が誕生。その生産総数は100万挺以上に上った。

 アサルトライフルの登場によりサブマシンガンの軍用銃としての有用性は失われつつあるが、軽便さと高い信頼性、後の銃器設計に大きな影響を及ぼした点など、MP40の名声は衰えないだろうと著者。

 本書を読めばサブマシンガンの名機の誕生からの知識、時代と戦場によって兵器の有用性が変化することもまた理解できる。

 (並木書房刊、1980円)

最新ニュースLATEST NEWS