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ブックレビュー

「安倍政権と集団的自衛権 ―キーパーソンが明かす内幕―」 里永 尚太郎著


 ウクライナ情勢で注目を集める集団的自衛権だが、日本において安倍政権時にどのようなプロセスで決定されたのか、詳細を知らない人も多い。そこで日本戦略研究フォーラムで主任研究員を務めた著者が、麻生太郎副総理など現代の日本政治を代表する主要政治家へのインタビューやヒアリングを通じ、集団的自衛権を巡る議論や政権運営に焦点を当てる。

 著者は最初に、集団的自衛権の閣議決定プロセスを解説。自民党が2012年に政権奪取後、その後の変遷と決定までの激動の調整過程を描く。

 続いて麻生太郎副首相兼財務相、高村正彦副総裁、石破茂幹事長、中谷元自民党安全保障法制整備推進本部事務総長、古賀誠元自民党幹事長(役職はいずれも当時)――などの7人のキーパーソンが語る平和安全法制成立の内幕を記載。閣議決定後の政治の動きも網羅している。

 本書を読むことで、石破氏が安倍政権で安全保障法制担当大臣の打診を固辞した理由、集団的自衛権の攻防による選挙結果への影響などがわかる。参院選を前に、読んでおきたい一冊だ。

 (内外出版刊、1540円)

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