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ブックレビュー

「元狙撃教官が語る 狙撃の道」 松岡 勝樹、二見 龍著


 本書は富士学校で狙撃課程を立ち上げ、陸自の“狙撃の道”を切り開いた初代狙撃教官の松岡勝樹元3尉と、現在は執筆業や危機管理コンサルタントとして活動する二見龍元陸将補による対談をまとめたものだ。当事者だからこそ語れる課程創設の背景、狙撃手として求められる資質や任務、扱う装備品など、あまり知られていない陸自スナイパーにスポットを当て実像を紹介する。

 とりわけ、スナイパーの適性について取り上げた部分が興味深い。松岡氏は「俺がおれが」タイプではなく「一歩引いて、いろんな視点で全体を見ることができること」を上げる。その好例として海自のP3C哨戒機クルーを取り上げ、周囲とコミュニケーションが取れる人間性こそ「もっとも重視する」と語る。二見氏も「チームの一員であるということへの理解がないと狙撃手は務まらない」とする。

 劇画やフィクションの世界では一匹狼タイプのスナイパーが描かれるが、2人の対談を読むと、そんなイメージが大きく覆される。

 最終章では、さらなる“狙撃の道”を究めるためにどう強化すべきかについても触れられており、スナイパーの現状と未来を知るうえで有益な一冊となっている。

 (並木書房刊、1760円)

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