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ブックレビュー

「中国に勝つための地政学と地経学 ―日本人に隠されている 真のチャイナクライシス」 佐藤 正久著


 外交、安全保障、経済安全保障の最前線に立つ“ヒゲの隊長”こと、自民党外交部会長を務める参院議員の著者が、中国による軍事力を背景にした実効支配や経済圏思想「一帯一路」を通じて経済圏・情報圏を拡大し続ける脅威について、「地政学」と「地経学」の観点から日本に迫る危機を解説した本だ。

 中国側から見た日本列島の価値を「逆さ地図」を使って分析し、太平洋への進出を塞ぐ日本の存在や台湾の位置関係を詳述。多くの日本人が「対岸の火事」と思っている台湾防衛の重要性を「日本本土の防衛と全く同じ意味を持つ」と指摘する。

 また、近年進展している多国間連携について、日米豪印戦略対話「QUAD」、豪米英軍事同盟「AUKUS」など、安全保障面、経済安全保障面での取り組みを背景や経緯も含めて説明している。

「多国間連携の構築と強化でしか習近平政権の膨張主義は抑止できない」と著者。「日本がリーダーシップをとり、自由主義陣営をまとめる役割を自発的に果たすべきだ」と強調する。

 (徳間書店刊、1650円)

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