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ブックレビュー

「国を守る覚悟」 木本 あきら著


 国を想い、愛する現役自衛官は、自由に発言することが制限されている。こうした現状に対し元予備自衛官の著者が、これまでのさまざまな経歴から得られた知見を基に警鐘を鳴らす一冊。

 著者は3陸曹教育隊(板妻)などで6年間の自衛官生活を送った後に、米国で2年間の道徳再武装運動に参加。同運動で出会ったスイス人がきっかけとなり、予備自衛官となった。これ以降、約25年間は世界各国へプラントエンジニアとして海外赴任生活を過ごす間も自費で一時帰国し、年1回の予備自衛官招集訓練に参加。予備自衛官としての活動は約30年に及ぶ。

 また世界中を渡り歩く中、エジプトのシナイ半島で第4次中東戦争の戦場となった砂漠に立つ「ピース・ニーズ・フォース」の看板を目にする。平和のためには、軍備が必要であるという現地の人々と日本人の平和に対する感覚の違いを目の当たりにした。そして湾岸戦争で日本は、平和が簡単に崩れること、平和を守るには自主防衛と人的貢献が重要であることを学んだはずであると指摘。それでも変わらぬ状況に「憲法守って国滅ぶ」と筆者は危機感を表明する。

 中国の軍備拡大、北朝鮮の度重なるミサイル発射実験など厳しさを増す安全保障環境に、お人好しな性善説を捨て、自国の防衛力に意識を向けなければならない。その「覚悟」を著者は訴えている。

 (ハート出版刊、1540円)

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