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ブックレビュー

「日本はすでに戦時下にある」 渡部 悦和著


 元陸自東部方面総監の著者が日本を取り巻く安全保障環境について、平時においての「目に見えない脅威」を明示し、未来を見据えた安全保障の在り方を提言する。

 本書は、中国による目的のためには手段を選ばない対外戦略「超限戦」に対抗する新たな戦い方を示した前作『現代戦争論―超「超限戦」』(佐々木孝博=元海将補=共著、2020年7月発行)の続編にあたる位置づけで、現代戦を情報、サイバー、政治、経済、金融、外交、メディアなど軍事・非軍事のあらゆる領域・手段を駆使した「全領域戦の時代」と表現して、現在の日本に対して行われている目には見えない侵攻について具体例を挙げて紹介している。

 「平時」は「平和」ではなく、情報戦、宇宙戦、サイバー戦などが日常的に行われる競争期間で、「この考えは中国の孫子の兵法『戦わずして勝つ』という原則に通じるものがある」と著者。「日本は全領域戦の戦時下にあり、これに対処しなければあらゆる領域において侵略される」と警鐘を鳴らしている。

 (ワニ・プラス刊、1980円)

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