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ブックレビュー

「“ざんねんな”日本国憲法」 西 修著


 日本国憲法が1947年に施行されてから今年5月で75年になる。同憲法はすばらしいものとして、「聖典化」されているが、その理由を知る人は少ない。駒澤大学名誉教授で憲法学の第一人者である著者が、同憲法の“ざんねんな”真実を解説する。

 第一部では日本国憲法の成立過程や今日にいたるまでの憲法論議の変遷を紹介する。

 第二部では日本国憲法の各章ごとの問題点をあげ、憲法論のみにとどまらず、著者による解決案も提示される。憲法改正の必要性が叫ばれる中、貴重な意見提示となっている。

 特に戦争の放棄を定める9条をめぐる解釈で、「自衛隊は憲法違反の存在なのかどうか」を焦点に集団的自衛権の意義を例を交えて論じる。

 本書は丁寧語で書かれているため、固い文言で難解な日本国憲法の解説もわかりやすく読める。ウクライナ情勢など国際社会が緊迫化する中、日本国憲法の条文の成り立ちや変遷を知ることで、無関心から脱却し、憲法のより良いあり方を考える大きな助けになるだろう。

 (ビジネス社刊、1760円)

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