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ブックレビュー

「中国経済はもう死んでいる」 宮崎 正弘著


 中国全土を歩き、海外での中国勢力を観察してきた著者が、最新の状況を踏まえて中国の近未来を予測する。

 中国経済について、著者はタイトルの通り、「脳死状態で生命維持装置を装着し、かろうじて循環機能を維持しつつ、臓器移植を待っている」のが真の姿だと言い切る。

 そもそも中国経済は国内総生産(GDP)世界第2位とされているが、本当にそうなのか。3割水増しは常識、在庫を統計に入れ、海外資産も大半が不良債権……。中国政府の公表数字には「ごまかし」しかなく、その真偽は精査されるべきだと指摘する。

 著者はこうした「ごまかし」を明らかにしつつ、▽既に崩壊した中国国内の不動産バブル▽不動産ローンのゆくえ▽バブル崩壊の影響の範囲▽異様な人民元高による輸出競争力の劇的な低下――などの問題を取り上げ、習近平政権の真実と中国を取り巻く経済、安全保障などの国際状況をあらゆる角度から解説する。

 中国共産党内では静かに、しかし着実に、反・習近平の輪が広がっていると分析している。

 (徳間書店刊、1760円)

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