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ブックレビュー

「憲法政治―『護憲か改憲か』を超えて」清水真人著


 「自衛隊違憲論は間違っている」という理論的な議論だけでなく「今後、日本はどのような国になっていきたいのか」という感情面を納得させる議論にも勝てなければ、国民投票で勝つことは出来ない――。

 EU残留か離脱を問う国民投票に敗れたキャメロン元英首相は、日本からの訪問団にこう述べた。

 本来政局から離れて議論すべき憲法論議も、与野党対決が強まれば国民投票の趣旨から外れた非難合戦に陥りかねない。本書では第2次安倍政権以降の憲法改正論議を巡る与野党、学界や民間の動きを描く。台頭する新世代の憲法学者の論陣を紹介し、著者は憲法論議を政治家のみに任せず専門家会議を置くことを提案。改憲対象は統治機構改革に主眼を置くべきとする。

 自衛隊明記や緊急事態条項のように論争を引き起こすテーマだからこそ国民の関心は高まる。選挙制度改革や中央省庁再編に国民は関心を示したか。統治機構のあり方を巡る改憲論に関心を示すのか。さらなる検証と議論を続編に望みたい。

(ちくま書房刊、1034円)

小林武史(国会議員秘書)

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