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ブックレビュー

「軍港都市の一五〇年―横須賀・呉・佐世保・舞鶴」 上杉 和央著


 「軍港都市はどのように形成され、どのような人々が集まり、どのような町として表現されたのか」――。

 明治以前までは独自の産業・文化を持ったまちとして歩み、明治時代に旧海軍の機関である「鎮守府」が置かれたことで「軍港都市」として発展した横須賀、呉、佐世保、舞鶴。

 本書は、軍港都市の中から鎮守府と海軍工廠がセットで設置された前述の4都市に焦点を当て、都市形成の150年の軌跡をつづった近代史だ。

 著者は歴史地理学と文化的景観学を専門とする京都府立大の准教授。地図や写真、書物など膨大な史料を下に、人口・戸数の推移や人々の営み、交通や観光といったそれぞれの都市の特徴を描き出している。

 軍港都市は終戦とともに重要な基盤を失うが、海上自衛隊の創設により平和産業港湾都市へと姿を変え、旧海軍ゆかりの地として象徴的なレンガをモチーフとしたまちづくりなどで復興を遂げていく。

 海上自衛官にとっては、勤務地の歴史を知ることで、より地域への愛着が深まる一冊となるだろう。

 (吉川弘文館刊、2090円)

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