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ブックレビュー

「防衛事務次官 冷や汗日記―失敗だらけの役人人生」 黒江 哲郎著


 2015年10月から17年7月まで防衛事務次官を務め、南スーダンPKO日報問題で辞任した著者が、「失敗だらけの役人人生」を振り返り、数々の失敗から得た“生きた教訓”とともに、職業を問わず働く人たち全てに贈る「仕事論」だ。

 本書の帯には「お詫びしすぎてギックリ腰」「ストレスで昏倒」「大臣に醤油浴びせてクビ覚悟」――など笑いを誘う文言が躍るが、防衛省・自衛隊に限らず組織で働く人にとっては「目からうろこ」の人生訓が詰まっている。

 1981(昭和56)年の入庁以来、歴代総理や大臣と共に政策決定の現場に立ち、舞台裏を見続けてきた著者だからこそ発することのできる貴重な証言は、そのまま防衛庁・防衛省が歩んできた激動の歴史を裏付けるものばかりだ。

 「もう一度人生を送れるとしたら、どんな職業を選ぶか」と問われれば、「人生を懸ける価値がある」として「防衛省の役人を選ぶ」という著者。

 本書は若い世代に向けて仕事の奥義を伝える「口伝書」であると同時に著者の熱い思いが伝わってくる貴重な「オーラル・ヒストリー」でもある。

 (朝日新聞出版刊、935円)

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