創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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ブックレビュー
「亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか」 兵頭 二十八著
同書は行動経済学で知られている意思決定モデルの一つ「プロスペクト理論」を応用し、安全保障問題に当てはめて解説した国防論だ。
人は何かしらの経済行為を決心するときに、その人なりのプロスペクト(見込み期待)を込めて損得勘定を行うとされており、「ガッカリしたくない」という気持ちに沿って行動を選択しているという。
近年、周辺諸国に対して侵略政策を推進する中共指導者らにも皆それぞれこの気持ちがあるはずだと筆者は推察しており、彼らにとって“ガッカリしたくないこと”を正しく想像することで、我が国や同盟国による有効な侵略抑止策を組み立てられるとしている。
全4章立てで論じられ、先の大戦で大日本帝国がたどった道を今日の中国も進んでいると指摘するほか、中国の軍拡事情と習近平政策の失敗、日本が今後取るべき社会政策を提示している。
特に経済制裁による資本のはく奪こそが中共にとって“最大のガッカリ”であると論述。「民主化」を促し、西側標準の社会規範を国家に実践させることで平和に近づけるとしている。
(徳間書店刊、2420円)