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ブックレビュー

「宇宙飛行士 野口聡一の全仕事術」 野口 聡一著

 民間初の有人飛行を成功させた新型宇宙船「クルードラゴン」に初めての日本人として搭乗し、3度目の宇宙滞在を成し遂げた著者が、宇宙での数々のミッション遂行の経験談をつづったノンフィクションだ。

 国際宇宙ステーション(ISS)と約400キロ離れた地球はいまや快適な通信環境で結ばれており、宇宙飛行士はまさに“究極のテレワーカー”といえるだろう。著者は動画サイトに宇宙での様子を配信するなど「ユーチューバー」としても活躍した。

 本書では仕事に臨む姿勢や考え方、業務内容などを公開。危険を伴う船外活動での誤解を生まない言葉の伝え方やISSという閉鎖空間で心身の安定を保つためのメソッド、衣食住を共にする仲間とのコミュニケーション方法など宇宙好きにはたまらないエピソードが満載だ。

 「物理的に離れていても心理的に孤立しないこと」を意識していたという著者。宇宙滞在で培った長年の知恵はコロナ時代の現在だからこそ、「テレワーク術」や「働き方」など実社会にも大いに役立つだろう。

 (世界文化社刊、1540円)

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