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ブックレビュー

「鎌倉殿と呪術」 島崎 晋著

 来年1月から放送予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が注目される中、ドラマでは描かれない可能性が高い陰陽師の「呪術」という観点から鎌倉時代を読み解く。

 本書ではまず、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝伝説を伝える場所が社寺に集中している点に着目。頼朝との戦いに敗れた源義経の捜索に呪術が使われたことも検証する。

 さらに日本最大の怨霊とされる崇徳上皇、梶原景時や源氏に滅ぼされた平氏と奥州藤原氏の怨霊化を阻止した秘策など教科書やドラマには描かれない呪術の歴史をひもとく。

 コラムでは現在も独裁者や軍人が恐れるミャンマーの黒魔術や人気漫画作品「キングダム」「呪術廻戦」について詳しく解説する。

 著者が鎌倉幕府の事跡を記した史書「吾妻鏡」を丹念に読み込み、実際に史跡を訪れて執筆しただけに紹介されるエピソードの数々は興味を引き、呪術の観点から歴史の疑問点を次々と解消していくさまは痛快。「鎌倉殿の13人」を視聴予定の隊員にとって、必見の書だ。

 (ワニブックス刊、1210円)

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