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ブックレビュー

「EV(電気自動車)推進の罠」 「脱炭素」政策の嘘 加藤 康子、池田 直渡、岡崎 五朗著

 「EV(電気自動車)は環境に優しく、脱炭素(二酸化炭素削減)のために必要だ」――。昨今メディアを通じて聞かれる論調だが、本書ではリチウムイオンバッテリーを始め、知られざるEVの課題を指摘。元内閣官房参与の加藤氏をはじめ、自動車に精通する3人が集い、EVについてさまざまな観点から徹底的な議論を展開したインターネット番組を再編集し、書籍化した。

 3人は国内にとどまらず、中国の最新EV事情やEVマーケットを牽引する米テスラ社の功績、EV化の議論を急ぐEU(欧州連合)の真の意図について徹底的に論じ合い、その危うさを指摘する。

 さらにEV推進の論拠となっている気候変動抑制に関する多国間協定「パリ協定」や日本の経済安全保障についても議論し、国の基幹産業である自動車産業を守ることが、国家の安全にも関わることを示唆する。

 自動車に精通していない読者にとっても理解しやすく、EVを取り巻く諸々の問題点を体系的に把握できる一冊だ。

 (ワニブックス刊、1650円)

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