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ブックレビュー

「日本が感謝された日英同盟」 井上 和彦著

 英国から「クイーン・エリザベス」空母打撃群が来日するなど、近年“新・日英同盟”に向けた動きが加速している。本書はその背景事情と100年前の「日英同盟」の歴史的意義を紐解(ひもと)いたものだ。

 振り返れば、両国とも「日英同盟」(1902―23)を結んでいた頃が絶頂期だった。欧・亜の両雄が手を結び、世界平和にも貢献した。第1次大戦中、日本は英国の要請で海軍艦艇を欧州に派遣し、地中海で船団護衛を行うなど大きな役割を果たした。一方、英国も日露戦争中、極東に向かうロシア艦隊を各寄港地で妨害して疲弊させ、これが日本海海戦での日本の大勝利につながった。

 だが、同盟が消滅すると両国は悲劇の道を歩み始める。米国は英国の支援がなくなったと見るや日本を狙い撃ちし始め、日米関係は急速に悪化、それが太平洋戦争の引き金になる。英国もパートナーを失ってアジアからの撤退を余儀なくされ、ついには敵同士になり、日英は戦争に突入する。

 本書ではかつての輝かしい日英同盟の再興を願い、両国の武士道・騎士道精神などを解説。その象徴的な事例として地中海で勇敢に戦い、日本の名を欧州中に知らしめた旧海軍第二特務艦隊の活躍が貴重な写真とともに紹介されている。

 (産経新聞出版刊、1430円)

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