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ブックレビュー

「マンガ 黄色い零戦」小沢さとる著

  旧日本海軍の艦上戦闘機「零戦」の開発秘話を描いたリアルな劇画だ。三菱内燃機製造(現・三菱重工業)で設計主務者を務め、「零戦」の原型となる十二試艦上戦闘機の設計を担ったことで知られる航空技術者・堀越二郎の半生と、「零戦」の戦力化を進める軍人たちの情熱と生き様が描かれている。

 本書は1988年に新潮社から出版された『黄色い零戦』の復刊版で、巻末には現役空自幹部の伊藤大輔3佐(空自幹部学校副官兼航空研究センター防衛戦略研究室員)による「零戦」への思いがつづられた解説文も掲載されている。

 伊藤3佐が「技術の本質は人であり、心情である」と記しているように、本書では技術者とその同僚、搭乗するパイロットや整備員、そして「特攻」の犠牲となった若手搭乗員とその家族一人一人の心情も細かく描写されている。「太平洋戦争開戦80年」を迎えた今年、同じく堀越二郎の半生を描いたアニメ映画『風立ちぬ』と併せて読んでおきたい一冊だ。

(飛鳥新社刊、1320円)

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