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ブックレビュー

「自衛隊はアフリカのジブチで何をしているのか」 小山 修一著

 2009年に始まった自衛隊のソマリア沖・アデン湾の「海賊対処行動」。その拠点アフリカのジブチに司令部先任幕僚として派遣された元隊員(1陸佐)が、現地展開の海自P3C哨戒機部隊への支援や警備に当たる陸自部隊がどのように活動し、生活しているかを紹介したのが本書だ。

 自衛隊の海賊対処は「すでに国民から忘れられた国際貢献」と著者は語るが、現地では今も隊員たちが酷暑の中で「日の丸」を背負い、さまざまな任務に従事している。本書ではソマリアの海賊の実態、自衛隊活動拠点の概要、ジブチ国民や各国軍人との交流などについて隊員の目からみた様子が描かれている。

 ジブチはアフリカ、アジア、ヨーロッパをつなぐ海上交通路の要衝で、その戦略的な重要性から仏、米、中国などが軍事拠点を置く。自衛隊も欧米部隊と協力し、さまざまな活動に従事。著者は幹部としてジブチの各所を見て回り、住民とも親しく交流したことから、現地事情に詳しく、これからアフリカに向かう隊員には格好のガイドブックとなっている。また、日本と国際社会のために働く隊員たちの誇りとやりがいも語られ、「ジブチの自衛隊の活動」を日本国民に知らせるための質の高い紹介本にもなっている。

(育鵬社刊、1980円)

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