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ブックレビュー

「アメリカ副大統領」 ―権力への階段 K・A・ブラウワー著、笠井亮平訳

 米大統領行政府「ホワイトハウス」担当記者を長年務め、ファーストレディー(大統領夫人)や使用人の視点から米大統領を描いてきたジャーナリストが「副大統領」をテーマに書き上げた本だ。副大統領は「世界最強の権力」を持つ米大統領に最も近い存在だが、伝統的に主役を引き立てる陰の存在であり、その私生活などはあまり明らかにされない。

 本書ではこの副大統領職に焦点を当て、アイゼンハワー政権以降の13人の副大統領の知られざる権力闘争、大統領との反目や友情などが描かれている。この間、ケネディ暗殺とニクソン辞任により副大統領が2回昇格しており、その舞台裏なども記されている。

 著者によれば副大統領職はカーター政権から大きく変化、カーター大統領は周囲に「副大統領からの指示は自分からの指示と同じものとして受け止めよ」と指示し、ここから地位が飛躍的に高まったという。現職のバイデン大統領も副大統領経験者。「ナンバー2」を切り口にしたアメリカ政治論はとてもドラマチックでかつ斬新だ。 

(白水社刊、3740円)

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