未来のエースたち<7> 世界へ挑む、静かな闘志

射撃
山下敏和 3陸佐 射撃班監督

真面目で温厚。周囲からは、そんな印象を持たれることが多い武内響3陸曹。しかし、その穏やかな表情の内には、誰にも負けたくないという強い競争心が秘められている。
武内3陸曹は、特別体育学生として自衛隊体育学校に入校して10年目を迎える。これまで長きにわたり射撃競技と向き合い、競技者としての基礎を築いてきた。その歩みの中で、大きな決断をしたのが2022年だった。

それまで取り組んでいたエアーピストル競技から、ラピッドファイアピストル競技へ転向。競技特性が大きく異なる中、新たな技術の習得に一から取り組んだ。
ラピッドファイアピストルは、限られた時間の中で正確な射撃を連続して行うことが求められる、高い技術力と精神力が必要な競技である。構え、照準、引き金を引く感覚、そして次弾へ移るまでのわずかな動作。そのすべてを短時間で安定させなければならない。
転向後も、武内3陸曹は持ち前の真面目さで一つひとつの課題に向き合い、日々の訓練を積み重ねてきた。負けず嫌いという内に秘めた競争心が、その成長をさらに後押しした。
その成果は着実に表れている。競技転向からわずか4年で国内トップレベルに到達し、現在は日本ランキング2位。26年にはアジア大会、世界選手権の日本代表に選出され、世界の強豪と戦う舞台へと歩みを進めている。

新たな種目への挑戦が決して平たんではなかったものの、試合で得た悔しさを次の訓練につなげ、課題を一つずつ克服してきた姿勢が、確かな結果となって表れ始めている。
目標は、28年ロサンゼルス・オリンピック。そこに向け、世界との差を一つずつ縮めながら、自らの射撃をさらに高めていく。
国内で勝つだけでなく、国際大会の緊張感や異なる試合環境の中でも力を発揮することが、これからの大きなテーマとなる。
10年間にわたり自衛隊体育学校で培ってきた経験と、競技転向後の4年間で示した成長力。そして、穏やかな人柄の奥にある強い競争心。
「未来の卵」から、世界で羽ばたく選手へ――。自衛隊体育学校射撃班のピストル選手として、武内3陸曹のこれからの挑戦に大きな期待を寄せる。







