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防衛技術コラム


技術安全保障を考察 【第6回】 重要技術は決められるのか
前回、重要なのは“次に来る技術を当てる”ことではなく、“技術で戦略の前提を更新し続ける力”であると述べた。新たな戦い方や概念が提示され続ければ、相手はその都度、戦略の見直しを迫られる。この連続した前提更新そのものが、抑止として機能しうる。 ある技術が、こうしたゲームチェンジャーになれるかどうかは、その技術単体の“すごさ”では決まらない。戦略の前提を覆す使い方はあるか、彼我の経済余力はどうか、といった環境条件との組み合わせで決まる。しかもその「現在の前提」自体も、高い頻度で変わりうる。


技術安全保障を考察 【第5回】 ゲームチェンジャーは抑止を変えるか
ゲームチェンジャーは、先端技術の中から突然現れるものなのだろうか。必ずしもそうではない。例えばデジタルマーケティングの技術は、誕生から10年以上を経て、安全保障の文脈と結びつくことで認知戦という新たな戦い方を生み出した。 重要なのは技術そのものではなく、それがどのような応用と結びつき、どの前提を変えるかである。第3回で見たようにあらためて考えると、ある技術が「重要かどうか」は、その技術が“すごい”ことではなく、技術の使われ方や使用時の国家の状態といった環境条件との組み合わせで決まってくる。したがって、技術単体を見て重要性を判断することには、本質的な限界がある。


技術安全保障を考察 【第4回】常態化するゲームチェンジ
ゲームチェンジャーは歴史の大転換点、そんなイメージは過去のものになりつつある。 これまでおおむね、近代的な軍の成立からフランス革命・産業革命までが200年、そこから第1次世界大戦までが100年、核抑止の構造が成立するまでに40年、その後ネットワーク中心戦の概念が登場するまでにも40年を要している。ところが近年は、人工知能(AI)やドローンによる意思決定中心戦の概念登場まで20年、さらに認知領域まで含めれば、戦い方は10年を待たずに更新されていくかもしれない。


防衛安全保障を考察 【第3回】本当にゲームチェンジャーか?
ドローンは本当に「ゲームチェンジャー」だろうか。1機1000万円のドローンが1台10億円の戦車を無力化できれば、確かにコスト非対称性を強制できる。「対処手段なしでは攻め込めない」と相手に思わせられるなら、抑止力として強力に働く。こうした見方から、ドローンこそがゲームチェンジャーだという主張が生まれている。


技術安全保障を考察 【第2回】80秒で戦車が消える時代の戦略
ロシアの戦車を発見してから80秒で撃破したと、2023年11月にウクライナ側が報告した。この事象は、我々の戦略の前提が何を失いつつあるのかを考える上で象徴的である。戦車の装甲は、単に被弾に耐える仕組みではなかった。敵に対戦車火力の使用とその準備時間を強い、その到来までの間は軽攻撃を無効化する―いわば「時間の猶予」を生み出す構造だった。 だからこそ、機動・突破・退避の判断が成立した。この前提が、ドローンの普及で揺らいでいる。上空の小型UAV(無人航空機)は偵察を断続的な作業から常時監視の環境へと変え、索敵→ターゲティング→決心→攻撃→結果評価のキルチェーンを、分離した手順から連続した反応へ短縮した。 AI(人工知能)が関与すれば、観測・判断・行動の遅延はさらに縮む。発見は“イベント”ではなく“前提条件”となり、発見から撃破までの猶予は数十秒の世界へと移行しつつある。猶予が縮むと、上位の設計が変わる。 防御の中心は装甲そのものから、不可視化・妨害・迎撃(電子戦、ジャミング、アクティブ防護)・分散運用へと重心が移る。作戦は「集中して突破する」から「分散


技術安全保障を考察 【第1回】戦略の前提は今日も正しいか
国家安全保障における技術の役割は、単に兵器の性能を高めることにとどまらない。その本質は“戦略の前提条件そのものを更新する力”にある。 技術が変われば、「どこまで見え、どこまで届き、どれだけ速く動けるか」といった前提が揺らぐ。それに応じて最適な作戦・組織・意思決定の形も変わる。技術は戦略の外側にある付属物ではなく、戦略の内側に組み込まれた“設計変数”である。 さらに、同じく戦略の前提となる地形や天候と異なり、技術は主体的に選択し得る。どの技術を選ぶかという意思決定そのものが未来の前提を形づくる。性能が高いかどうかではなく、前提をどう更新するかが結果を左右する。 筆者は技術・安全保障・経済・経営が交差する技術安全保障の領域で官民双方を支援する中で、新技術を導入しても戦略の前提構造の再設計が議題に上らない場面にしばしば直面してきた。1940年のフランス軍も同様である。戦車の性能は高かったが、指揮・補給の前提は塹壕(ざんごう)戦時代のまま、通信も不十分で、機動戦に適応できなかった。前提更新の遅れはしばしば結果を決定づける。 では、自組織の前提を見直す際、
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