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「両国は防衛の黄金時代」 日英防衛相会談が会談(2025年8月28日)

2025年9月2日更新


特別儀仗隊による栄誉礼を受けるヒーリー英国防相(中央右)とエスコートする中谷防衛相(同左)=8月28日、防衛省

 「今朝、石破総理とお会いし、日英両国は現在、防衛の黄金時代を迎えていると話した」

 8月28日、中谷防衛相との会談に臨んだイギリスのジョン・ヒーリー国防相は冒頭、現在の日英間の防衛協力・交流をこう表現した。

 今回の日英防衛相会談では、初めて両国の防衛当局間で共同声明を発出。中谷氏は「これは日英の防衛協力が新たな次元に至ったことを示すものだ」との見解を表明した。

 また、8月12日から9月2日まで横須賀や東京に滞在した英空母打撃群の展開は、「英国がインド太平洋地域の平和と安定に積極的に貢献するというコミットメントの表れであり、日英安全保障をさらに強化する取り組みだ」と強調した。

 会談後の共同記者会見でヒーリー氏は、英空軍のF35B戦闘機が初めて海自の護衛艦「かが」に着艦したことを「特筆すべき出来事」とした上で、「近く、日本のF15戦闘機が初めて欧州に展開し、英空軍基地にも立ち寄る予定だ」と明かした。

 これについては会談直後に行われた空幕長会見で、森田空幕長が「今後の検討だと思う。もし展開するとなったらF15かF35になると思うが、現時点で確定したものではない」と答えている。

 会談でヒーリー氏は次期戦闘機開発の日程について、年末までにGIGO(政府間機関)とエッジウィング(合弁企業)間で「最初の契約に署名するため作業を加速させ、その後はデザインや引き渡しまで進めていきたい」と語った。

 共同声明には、台湾海峡の平和と安定や、東・南シナ海の状況に深刻な懸念を表明したほか、北朝鮮による核・ミサイル活動を強く非難。

 特に「ウクライナ侵攻」については「プーチン大統領による違法で、不当で、いわれのない」ものと名指した上で「国連憲章に対する明白な違反だ」と記した。

 一方で、日英の全軍種間レベルや宇宙・サイバーの新領域など、幅広い分野で一層緊密に連携することを確認。

 「女性・平和・安全保障(WPS)」では、「責任ある国家として」インド太平洋における協力を進める意思も確認した。

 日英の歴史は1902年の同盟関係から第2次大戦を経て現在に至るまで、さまざまな変遷をたどった。

 戦後80年の節目を迎えた今年、両氏は会談に先立って千鳥ヶ淵を訪れ、戦没者に花を手向けた。

 これについて、中谷氏は「日英が戦没者を追悼すると共に、今や地域、世界の平和と安全のために肩を並べて緊密に協力する関係を示す貴重な機会となった」と語った。

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