創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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ブックレビュー

「TARON―太論№1 宇宙空間における戦略的競争」


 近年の米中間の覇権をめぐる争いはより多岐の分野にわたり熾烈となっている。アメリカはトランプ政権時に「中国はインド太平洋地域における米国の立場にとって代わろうとしている」と厳しい警戒感を示した。対中政策における安全保障上の認識はバイデン政権になっても継続している。

 アメリカの同盟国である日本としても、この機会により国民的な安保議論を醸成し、軍事に関する安全保障領域の研究や現状を分かりやすく、伝わりやすく編纂して広めることで民主主義の発展に寄与したい。そんな経緯から創刊された本誌。

 創刊号は、米中間の戦略的競争シリーズとして近年急速に競争が加速している「宇宙空間」に焦点を当て、特に軍事利用の拡大とその潜在的な意義について各専門家が論じている。内閣府、防衛研究所、IHIなど官民それぞれの宇宙空間におけるスペシャリストの鼎(てい)談・論考は、まさに日本の宇宙領域の安全保障環境における最新情勢を網羅しているにふさわしい内容と言えるだろう。

 ページ数も100ページを切るコンパクトさ。多彩なグラフィックを駆使した本誌は誰でも気軽に手に取りやすい。

 (国政情報センター刊、1815円)

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