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統合作戦司令部の誕生に寄せて 3人の統幕長経験者が語る<1>(2025年4月24日)
2025年4月28日更新
前統合幕僚長・元陸将 山崎幸二氏
課題乗り越え あるべき姿に
遂(つい)に、本年3月24日、市ヶ谷の地において平素から自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部(以下、司令部)が新設された。
2006(平成18)年に統合幕僚監部が発足し、統合運用体制に移行して以来の歴史的な組織改編である。2011(平成23)年の東日本大震災への対応を契機とし、常設統合司令部の必要性が提起されてから長い議論の末、多くの課題を乗り越え、軍事組織としての在るべき姿を構築することができた。
司令部の新設は、統合運用に携わる現役諸官と先人の叡智(えいち)と情熱・執念の結集であり、努力の賜(たまもの)である。
我が国を取り巻く安全保障環境は激化し、戦後、最も厳しく複雑な状況になった。我が国の周辺諸国の急激な軍事力の増強や軍事活動の活発化により、我が国は、今、世界の法と秩序を守る最前線に位置している。「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」とまで言われる状況だ。
我が国に対する武力攻撃を一度許したならば、平和な日々の暮らしは一瞬にして奪われる。ウクライナを見れば明らかだ。どのような厳しい安全保障環境下にあっても、絶対、我が国への武力攻撃事態を未然に防止しなければならない。
現代戦は、・・・