創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

防衛関連ニュース

防研セミナー 時代を読み解く 4

2022年5月9日更新

 

菊地茂雄防衛研究所地域研究部中国研究室長

米国家防衛戦略に見る 対中・対露脅威認識

米の国家防衛戦略2カ月遅れで提出

 今年3月28日、米国防省は国家防衛戦略(NDS)を議会に提出した。NDSは、1997年から2014年にかけて5回にわたって作成された「4年ごとの国防計画の見直し」(QDR)の後継文書として、17会計年度国防授権法により4年ごとに作成し、1月中に議会に提出が求められるようになったものである。

 QDRと同様、NDSは米国の国防計画の枠組みを示すものであるが、大きな違いはQDRが公開文書として作成されたことに対し、NDSは要約が公開されるものの、本体は公にされないことである。

 これは、QDRが公開を前提としたため、率直な評価や、外部の批判を招くようなことを書くことを避けるようになったとの反省を踏まえたものである。

 なお、第1回のNDSはトランプ政権下の18年1月に議会提出され、公開版要約も公開されたが、今回のNDSは4月上旬の時点でも要約は公表されていない。

 ロシアのウクライナ侵略を踏まえてNDSで示される脅威認識も大きく変わるとの予想もあったものの、実際にはインド太平洋における中国の脅威への対処を「優先」し、欧州におけるロシアの脅威は「差し迫った脅威」であるものの、「それに次ぐ」ものであるとの認識が示された。

 さらにNDSは、北朝鮮、イラン、暴力的過激主義組織の脅威に対応することを求めた。このことはバイデン政権の脅威認識の枠組みに基本的な変化がないことを示している。

中国は「ペーシング脅威」

 中露を「主たる脅威」とし、北朝鮮、イラン、暴力的過激主義組織を「従たる脅威」と位置付ける認識はオバマ政権末期に始まり、トランプ政権を経てバイデン政権に引き継がれたものであるが、とりわけ注目されるのが中国の特別な位置付けである。

 それは、ロイド・オースティン国防長官ら米国防省幹部らによる中国を・・・

続きを読む

最新ニュースLATEST NEWS