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朝雲寸言

 

 毎年のように訪れていた沖縄の海にここ数年訪れることができないでいる。

 何処までも続く青い海、沖縄の海が青いのは太陽の光が強いこと、海の透明度が高く遠浅であること、そして海岸の砂浜が白いからである。海の透明さと砂浜の白さは長い年月をかけて成長するサンゴ礁のお陰であるという。

 東アジアにおいてほぼ中央に位置する沖縄は太平洋の要石と呼ばれた。かつてこの島で日本と米国の史上最大の激戦が行われた。単一の島嶼への上陸作戦として見れば米国が欧州に投入した全兵力に匹敵する規模の戦力がこの島に集中したのである。

 圧倒的な戦力差がありながら日本軍の粘り強い防御戦闘と反斜面陣地などの巧みな陣地形成で米国は苦戦を強いられた。1カ月程度の短期決戦と見積もられた作戦は5カ月を超える持久消耗戦となった。

 歴史には色々な見方がある。しかし沖縄戦が先の大戦の終結に大きな影響を及ぼしたことは間違いない。沖縄戦が短期間で終わっていれば米国の日本本土進攻作戦が実行されていたかもしれない。

 沖縄戦終焉の地、摩文仁の丘の岸壁にある司令部壕からも沖縄の青い海が見える。本土決戦の時間的余裕を得るために勝算のない持久戦を指揮・統率した司令官の心境を思い、戦死者8万を超える将兵の戦いを思い、10万人を超える沖縄県民の犠牲と苦悩を思う。沖縄が日本に復帰したのは27年後、1972年5月15日のことである。


(2022年5月19日付『朝雲』より)

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