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 朝雲寸言

 「いつか来た道」「地球の裏側」――。いい加減、こうした抽象的な言葉や言い回しで、日本の安全保障を議論するのはやめよう。

 集団的自衛権の行使を巡る議論では、自衛隊を派遣しない一つの目安として、「地球の裏側」という言葉が使われてきた。それは日本から遠く離れているという地理的な意味でもあり、また、日本とは政治的なつながりが薄いという意味でもあった。

 9月19日、官房副長官補の高見沢将林氏が自民党部会で述べた「地球の裏側であれば日本に全く関係ない、ということは一概には言えない。絶対、地球の裏側には行きません、という性格のものではない」との発言が物議を醸した。

 至極真っ当な発言だと思う。ただし、これまで集団的自衛権の行使に反対する勢力に対し、自民党政権は「自衛隊が地球の裏側にまで行って戦争するようなことはない」などと説明してきただけに、今回の発言との整合性を問われてもやむを得まい。

 波紋が広がる前に、安倍首相が、集団的自衛権の行使には地理的な制約は設けない、という趣旨で説明したのは適切だった。PKOにしても、自衛隊はアフリカや中東、中南米まで派遣されている。日本の国益や安全と密接な地域は至る所にあるからだ。

 ではどんな場面で自衛隊は出動するのか。それは時の政府が、日本との関係や国益などを総合的に勘案して決めればいい。もちろん国会の承認を得ることも忘れてはならない。

(2013年10月3日付『朝雲』より)

 

 

 

 

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