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朝雲寸言

 

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始したのは2022年2月24日早朝のことである。戦争は5年目に突入した。侵攻開始当時、戦争がこれほど長期にわたることを予測した専門家は小欄も含め少なかった。ロシアとウクライナの戦力差が歴然であったからである。

 戦争の長期化は国力を衰退させる。それが大国の場合、世界に与える影響は甚大である。米国の場合、ベトナム戦争は8年に及んだ。長引く戦争は結果的に米国の絶対的な経済・軍事的優位を低下させ米国衰退の始まりをもたらした転換点となった。

 ソ連の場合、1978年のアフガニスタンへの軍事侵攻は11年に及んだ。この戦争がなくともソ連は崩壊したかもしれない。しかし戦争がソ連崩壊を加速させたことは間違いない。

 ウクライナ戦争の場合、ロシアにはソ連時代からの装備品・弾薬の大量の備蓄があった。だが、4年が経過しロシアの兵器備蓄は物理的限界に近付いている。何より増え続ける人的損耗はロシアを着実に苦しめているように見える。

 そしてウクライナ戦争は我が国の安全保障に多大な影響を及ぼした。ドローン兵器、サイバー、宇宙、電磁波領域などの新しい脅威に対応すると共に防衛力の抗堪性の向上が急務となった。

 国際社会の現実を見れば、外交や対話のみで戦争が止められないことは明らかである。日本政府は安全保障関連3文書の前倒し改定に着手した。

(2026年2月26日付『朝雲』より)

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