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ブックレビュー

「ラストエンペラー習近平」 E・ルトワック 著、奥山真司 訳

 現代最高の戦略家の一人ルトワック氏と、国際政治学者の奥山氏が「共産中国の今後」について語り合った書だ。

 政治・経済・軍事大国となり、「向かうところ敵なし」に見える習近平主席率いる中国だが、「いま重大な戦略上の過ちをおかしている」と両氏は指摘する。

 過去2000年、周囲に対等な国が存在しなかった中国は、伝統的に「国力に差はあっても国同士は対等な関係」という概念が理解できず、大国の米・ロを除く国々をすべて自国より格下と見て、今後も傲慢(ごうまん)な外交を続けると予測。これを受けて小国は中国に対抗するため団結を強め、この結果、中国は「全方位敵対路線」に入り、最終的に敗北を余儀なくされると見る。

 鄧小平が指導したかつての中国は牙を隠し「韜光養晦(とうこうようかい)」の戦略で世界に迎え入れられたが、「力」を前面に出し横暴な対外政策を行う現在の中国は外国との軋轢(あつれき)が増し、世界の国々から孤立していく。そして習近平は共産党「最後の皇帝」になるかもしれないと予言している。

(文芸春秋刊、1460円)

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