朝雲寸言2008/8/21付

「平和の祭典」オリンピックの間にも戦争が起きた。グルジア軍が独立を目指す南オセチアに侵攻、ロシアが軍隊を送って反撃するとともに、グルジア国内を空爆した。同じくグルジアからの独立を目指すアブハジアでは、ロシアの援助を受けた武装部隊がグルジアの支配地区を攻撃した。
国連安保理は米露の利害の対立で機能できず、EUの仲介で停戦が合意された。戦争は1週間足らずで終結し、グルジア軍の侵攻前の状態に戻ったが、民間人2000人が犠牲になった。
グルジアはソ連崩壊後に独立したロシアの南にある小国だ。旧ソ連の空母トビリシの名は、この国の首都からとった。かつての支配者であるロシアに対する敵がい心が強く、最近では、NATOへの加盟を目指している。
グルジアは念願の独立を果たしたものの、国内に南オセチア、アブハジアという、他民族の自治州を抱えている。その国境は、もともとグルジア出身のスターリンが決めたものだ。
グルジア政府は、今回の侵攻を「国内秩序回復のため」と言うが、ロシアや中国が他民族を弾圧するときと同じ言い分だ。大国に抑圧されてきた小国が、国内の少数民族を抑圧する。それを口実に再び大国の介入を招く構図だ。
この戦争の結果は明らかだ。多くの命を失って何も得るものがない。歴史の重荷をはねのけようとして、さらなる重荷を重ねる。大国の身勝手と小国の苦難がそこにある。