朝雲寸言2008/8/7付

原油価格の高騰が止まらない。燃料代が上がっても予算が増えない自衛隊では、日々の訓練用燃料のやりくりに苦労している。海上自衛隊は、多数の艦船、航空機を運用する毎年恒例の秋の海上自衛隊演習を中止するかどうか検討しているという。
70年代のオイルショックと狂乱物価の時代にも、自衛隊は訓練や隊員の生活維持に苦労させられた。「たまに撃つ弾がないのが玉にきず」という川柳が生まれたのもその頃だった。今ならさしずめ、「ハイテクも油がなければただの鉄」とか「内臓脂肪ガスタービンで燃やしたい」といったところか。
インド洋の給油さえ、国民が困っているのに外国にタダで油をやるのはケシカラン、という声もある。給油活動が中東からのオイル・ルートの安全確保に役立っていることを見ない意見だが、これも世論だろう。
そんな時代だから、派手な演習を差し控えなければならない事情もわからないではない。だが、防衛とは、金がないからやらなくていい、というものではない。大規模な演習も、自衛隊が組織として整斉と動くことを検証する重要な意味を持っている。その「海演」を中止するのは、よほど深刻な事態だ。
問題は、原油高が短期的な現象ではないことだ。今年海演を中止したとしても、来年できる保証はない。来年度予算も、マイナス・シーリングだ。自衛隊が何でもできるわけではないことを発信する勇気も必要だ。