朝雲寸言2008/6/26付

日中両国の懸案であった東シナ海のガス田問題は、中間線をまたぐ海域を共同開発することで合意した。
99年に海自のP3Cが中国のオイル・リグ建設の動きを捉えてから10年近くになるが、この間、ガス田問題は、時に中国との摩擦を嫌う政治に黙殺され、時に中国への強硬姿勢に転じた政治にプレーアップされてきた。
東シナ海では、日中の排他的経済水域が重なり合う。わが国は地理的中間線を主張し、中国は大陸棚の外縁までが自国の水域であると主張してきた。こうした経済主権の問題を、友好を理由に黙殺することも、愛国心を理由に過度に強調することも、政治にとって正しい態度ではない。
黙殺しても問題は存在し続けるのであり、また、対決しても、戦争によって解決することはできないからだ。今日、世界的にエネルギー事情が逼迫する中で、経済主権の問題は、国家関係の火種になる。現に、日中交渉が難航する中で、自衛隊を東シナ海に派遣せよという声がなかったわけではない。今回の合意は、両国が水域問題を棚上げし、目の前の利益を共有することで対立の火種を封印するという大人の対応だ。
政治は、時に「国内向け」のポーズとして軍隊を使いたがる。主権問題で寸土も渡さないという姿勢は正しくても、万が一の戦争の覚悟もなしに安易に自衛隊を持ち出すのはいただけない。今回の合意で当面、そういう声が起こらなくなることを期待したい。