朝雲寸言2008/5/15付

5月9日、モスクワ赤の広場でメドベージェフ新大統領を迎えてロシア軍のパレードが行われた。旧ソ連時代から、赤の広場のパレードは、あの国を代表する光景だったが、今回は18年ぶりだという。
旧ソ連が崩壊したのは91年の末だから、長い空白を超えて、軍事大国ロシアの復活を印象付けるものとなった。この間、ロシアでは、不正などの問題はあるものの、指導者が国民の選挙で選ばれるようになり、原油価格の高騰を背景に、経済的にも絶好調の局面を迎え、今や軍事だけでなく経済でも世界に大きな影響を与える大国となったが、今回の軍事パレードの復活は、その自信を世界に発信するイベントとなった。
パレードの2日前、クレムリンでは核ミサイルの発射を指令する「核のブリーフケース」が新大統領となったばかりのメドベージェフ氏に手渡される儀式があった。新大統領への核のボタンの引き継ぎと軍の閲兵という二つのイベントを見れば、この国の政治権力の基盤がどこにあるかがわかる。
ロシアは、対外的には資源をテコに周辺国との交渉を進め、国内ではプーチン人気を武器に反対派を抑え込む一方、復活した軍事力を背景に、わが国周辺への爆撃機の往来を再開するなど、その存在感を増しつつある。
北朝鮮、中国に加え、やっかいな隣国が元気を取り戻してきたことを、今後の防衛戦略において十分考えておかなければなるまい。