朝雲寸言2008/4/3付

イラク戦争開戦から5年、アメリカ軍の死者は4000人に達した。大統領予備選ではイラク政策が大きな争点となっている。
共和党候補に内定したマケイン氏は、今後も必要な限り駐留を続けるとの方針を強調する一方、同盟国との協調を重視して「単独主義」路線からの修正を示唆している。混戦を続ける民主党では、クリントン氏が当初イラク戦争を支持したとオバマ陣営が批判するのに対し、クリントン氏は豊富な政治的経験を強調している。
わが国でも、総理大臣には経験が求められる。だがそれは、与党をまとめ政局を乗り切る経験であって、自衛隊の最高指揮官としての経験が求められているわけではない。アメリカの場合、大統領が米軍の最高指揮官であるが故に経験を求められる点がわが国と決定的に違う。だが、軍の最高指揮官にふさわしい経験とは何か、というと定義は難しい。
「将軍たちは過去の戦争を戦う」という格言がある。イラクについて言えば、パウエル統参議長がベトナムの経験を踏まえ兵力の集中投入によって湾岸戦争を戦ったのに対し、ラムズフェルド国防長官は、湾岸戦争の経験を排してイラク戦争を戦い、最小限の兵力によるサダム政権の転覆に成功したがその後の統治に失敗した。
政治に必要なのは経験と変革のバランスだが、閉塞感に悩む国民はわかりやすい変革を好む。今、日米の政治リーダーは、ともにその狭間で苦しんでいる。