朝雲寸言2008/3/20付

2期目を迎えた胡錦涛政権にとって、北京五輪は、中国が近代国家に仲間入りしたことを示す最大のイベントとなるはずだが、ダルフール問題への不満から映画監督のスピルバーグ氏が顧問を辞退し、北京の大気汚染を心配してマラソンのチャンピオンが不参加を表明するなど、課題も多い。毒入り餃子に代表される食の安全も障害になりそうだ。
国際五輪委員会(IOC)は先ごろ、北京の環境では世界新記録は望めないとのコメントを出したが、それならなぜ北京を開催地に決めたのか。さらに、チベットのデモに対する弾圧も起きている。この問題の処理と国際社会への説明を誤れば、環境汚染だけではなく人権という政治的理由による不参加も懸念される。
今後、オリンピックの開催地を決める要件は、施設や利便性だけでなく、当該国の環境問題や人権問題への取り組みを考慮せざるを得なくなるだろう。中国にとっては、経済発展だけでなく、政治や文化の近代性を問われるわけだが、果たして、環境や人権に対する国際社会の「空気を読む」ことができるだろうか。
おりしも中国海軍の高官が、中国が空母を持てば、太平洋をハワイで東西に分けて米中で共同管理することを米太平洋軍司令官に「真顔で」提案したという。ハワイ以西の太平洋は、いわば日米の海だ。空母を1隻持ったくらいで米海軍と同等になると考えているなら、それこそ中国流の「KY」だろう。