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朝雲寸言2008/3/13付
先月の話になるが、米国が制御不能となった偵察衛星をミサイルで撃ち落とすという出来事があった。問題の衛星は、USA193と呼ばれ、重量は2・2トンだという。
最近では、年間10基程度の人工衛星が大気圏に落下している。夜空に星が降るごとくだが、そのほとんどは大気中で燃え尽き、地上に被害を与えることはない。これまで落下した例は、いずれも数十トン以上の大きさの衛星だ。だが、小さくとも、原子炉を積んでいたりすれば、落下時の被害が懸念される。
今回の衛星は、姿勢制御用の燃料としてヒドラジンという腐食性の強毒物が積まれていたことが懸念材料となったものの、2トン程度の衛星が燃え尽きずに地上に届くことは考えられない。
あるいは、燃料区画が大気との摩擦にも耐えるほど頑丈にできていたのかもしれないが、むしろ、万一回収された場合に秘密が盗まれることを心配したか、そうでなければ、中国が衛星の破壊に成功したことに対抗して米国の能力を誇示しようとしたのかなど、さまざまな憶測が成り立つ撃墜劇だった。
ともあれ、撃墜後の観測ではフットボール大以下の破片になったということで、被害の心配はなくなった。同時にそれは、核心である燃料区画を正確に破壊するという高度の迎撃能力を示したことにもなる。今回の「実験」が、米中露の宇宙軍拡競争につながるとしたら、安心してばかりはいられない。
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