朝雲寸言2008/2/28付

イージス護衛艦「あたご」の事故は、20年前の「なだしお」事故を想起させる。野島崎沖と横須賀沖という場所の違い、水上艦と潜水艦という艦種の違いはあるが、自衛隊側に回避義務があったとみられる点では共通している。
「なだしお」事故の後、この種の事故を2度と起こさない決意で再発防止策をとったはずだが、潜水艦という船の特殊性に着目した対策が中心だった。なぜなら水上艦は、潜水艦に比べ見張りの装備、態勢が整っているからだ。
「なだしお」事故の当夜、記者会見した当時の海幕長は、「なだしお側に過失はなかった」と発言し、これを契機にマスコミの総力を挙げたバッシングが始まった。その過程で、艦内での「航泊日誌の改ざん」や「口裏合わせ」といった「不都合な」事実が次々と浮かび上がった。
今回の事故では、防衛省の事故原因へのコメントは慎重だ。だが、事故当日の会見で発表された相手船視認の時間や「緑色の灯火」などの事実関係はすぐに変更を余儀なくされている。一部乗員の不完全な報告をもとに記者発表することの怖さを改めて感じさせる。
石破大臣は、海自の側に事実の隠蔽や情報操作があれば職を辞する覚悟と明言している。石破大臣のこうした姿勢がそのまま、抜本的な防衛省改革につながることを期待したい。防衛省・自衛隊も、そうした覚悟を受け止め、再発防止と自己改革に邁進しなければならない。