朝雲寸言2008/1/31付

今年7月の洞爺湖サミットをめぐって、自衛隊の対応に関心が集まっている。とりわけ、ハイジャックされた民航機が会場のホテルに突入するといった9・11型テロが気がかりのようだ。ある新聞はペトリオットPAC3を配備すると言い、また、F15戦闘機による撃墜を検討していると報じた記事もある。
自衛隊が常に万一の事態を想定して準備することは当然だが、同時に、民間機を撃墜するといった深刻な判断は、総理大臣の責任においてなされるべきであり、自衛隊の「頭の体操」とともに、政治の側にも「心の準備」が求められる。
ただ、こうした話が興味本位に語られることには違和感を禁じえない。サミットを狙ったテロの標的は、首脳会議の会場だけではない。一昨年の英国サミットでは、会場から遠く離れたロンドンの地下鉄とバスが狙われた。サミットの警備は、情報収集や入国管理、全国の主要施設の警備などを含む地道で総合的なものだ。
今日、9・11当時に比べハイジャック対策は相当進んでいるし、入国時の外国人の指紋採取など、水際対策も進んでいる。また、ハイジャック機を撃墜するには、あらかじめ緊急対処事態を認定したり治安出動命令を出す必要があるが、そのような情勢ならば、そもそもサミットを開催すること自体が現実的ではない。
万が一の備えは必要だが、テロに関しては、その場限りでない、広範で息の長い警戒心が必要だ。