朝雲寸言2007/12/13付

中学生でも知っているが、民主主義は多数決原理であり、多数決原理は少数意見の尊重の上に成り立っている。政治制度としての民主主義国家は、国民の多数によって政治権力の所在が決定される国のことだ。
この秋から冬にかけ、世界の注目を浴びた選挙がいくつかあった。パキスタンではムシャラフ大統領が再選されたが、大統領が軍参謀長を兼ねるのは憲法違反との指摘を受け、野党がボイコットする中での選挙だった。
ベネズエラでは反米・社会主義を標榜するチャベス大統領が、自ら永久に大統領を続けるための憲法改正を提起した国民投票で敗北した。一方、ロシアの下院選挙では、国際機関から不正疑惑を指摘されながら、プーチン大統領が率いる与党が圧勝した。
これらの選挙に共通するのは、やり方の巧拙はあっても、いずれも強力なリーダーに対する国民の熱烈な支持を作為しようとしたものだ。国民が自国の「強さ」にこだわるのは、弱さへの不満や恐れがあるからで、この手法を徹底すれば、かつてのナチスになる。そういう国は、どう見ても「健全な」民主主義国ではない。
翻って、わが国でも与野党がお互いの意見を聞き入れない。与党側は、テロ対策の対案を求めているが、民主党はインド洋の給油活動の否定が対案だという。これも民主主義の一つの姿といえばそれまでだが、健全とは言い難い。まだしも、ベネズエラがまともかも知れない。