朝雲寸言2007/8/2付

 参議院選挙で、元自衛隊イラク復興業務支援隊の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久氏が25万票あまりを獲得して見事当選を果たした。佐藤氏本人の人柄や応援に当たったOBの方々のご努力のたまものと敬意を表したい。
6年前の参議院選挙で、防衛関係の2人の候補の合計得票数が16万票に止まったことを考えると、候補者本人の持つ魅力や資質が重要な要素であることが分かる。それはまた、候補者を応援する周囲の「人の輪」にもつながる。NHK大河ドラマの武田信玄のせりふを借りれば、「人は城、人は石垣、人は堀」ということだ。
一方、自民党全体は惨敗した。一昨年の小泉総理による「郵政選挙」で大勝した同じ自民党とは思えない負け方だ。安倍総理は、「反省すべきところは反省し」て続投する意向のようだ。確かに、年金や政治資金をめぐる「逆風」は安倍氏一人の責任ではないが、この結果の違いから読み取るべきことは少なくない。
大河ドラマ風に言えば、小泉氏の場合、決断は早く、口数は少なく、「抵抗勢力」とは火のように戦い、一度決めたら山のように動かなかった。「風林火山」は、ある意味で乱世のリーダーの不可欠の資質だ。
安倍氏は、高い理念を持ち、つまらぬ派閥の駆け引きに身を投じることがない点では立派な総理だが、それだけでは乱世を乗り切れないことを、今回の選挙が証明した。最も「反省」すべきはそのことかもしれない。