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朝雲寸言2007/7/19付
厚生労働省では、ボーナスの返上と歴代の社会保険庁長官らの退職金の一部返納を求めている。言わずと知れた「消えた年金」など、永年のずさんな年金処理の責任の所在を示そうとするものだ。
確かに、年金の制度、実務の混乱を招いた責任は、今の職員や幹部以上に、無駄遣いや事務上のミスを放置してきた過去の担当者や幹部にある。今日の混乱は、社保庁の組織的故意または過失による人災だ。
それなら、いっそのこと歴代関係者の民事、刑事責任を問えばよいのだが、社保庁の体質に根ざす構造的な問題であるため、特定の個人の犯意を立証することは難しい。
だが、会社であれば、不正経理はもとより、間違った経営によって損失を被れば、株主によって賠償を求められる一方、国の場合は、間違った政策によって国民に損害を与えても責任を問われない。その代表例が、バブルを放置して日本経済を奈落の底に突き落とした旧大蔵省の責任だ。
他人を批判するのはやさしいが、同じ基準をわが身に置き換えてみる内省も必要だ。ある日突然どこかの国のゲリラがわが国を攻めてきたとき、防衛省・自衛隊が不適切な装備、間違った戦略戦術によって国民や隊員に不必要な損害を与えることがあれば、退職金の返納などで済む話ではなくなる。
国の安全が根底から損われれば、年金問題など消し飛んでしまう。不断の緊張と覚悟が、いかなる省庁にもまして求められている。
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