|
朝雲寸言2007/6/14付
陸自情報保全隊(旧調査隊)が、イラク派遣に反対する市民団体や報道の動きを調査していたことが判明し、論議を呼んでいる。
派遣される隊員や留守家族に対して害意を持って働きかける動きがあれば、部隊保全の観点からこれを調査することは当然だ。一方、批判する側から見れば、デモに参加する人のプライバシーの侵害とか、国民の自由な意見表明に対する「権力」からの妨害と映る。
イラク派遣については、様々な反対意見があった。それは、自衛隊の存在自体を否定するものから、イラク戦争の大義を疑うものや、危険にさらされる隊員が可哀相といった幅広いスペクトラムがあったはずだが、昨年の世論調査では、6割以上の国民がイラクでの自衛隊の活動を評価している。
それでも4割の反対意見は残るが、それは民主主義国家においてむしろ健全な数値ではないかとも思う。問題は、6割に及ぶ国民の評価は、派遣部隊の地道な努力によるものであって、情報保全隊が反対派の動向を調査・分析した結果ではない。より直截に言えば、今回の調査が何の役に立ったのかがよく分からない。
調査報告には、「(反対派の動きには)有名人の名前を利用して市民の支持を封じ込める企図がある」といった「分析」もあるようだ。企図の分析は調査のイロハだが、この程度なら高校生でも書ける。カウンター・インテリジェンスのプロだとしたら、お粗末すぎた。
|