朝雲寸言2007/5/17付

先日、朝日新聞に「迎撃弾の展開地隣にマンション−『生活に影響』懸念も」という見出しの記事があった。
入間基地に配備されたPAC3で弾道ミサイルから首都を守るためには都心近くに部隊を移動展開させる必要があり、その候補地となるのが市ヶ谷駐屯地だが、同駐屯地に隣接して高層マンションがあるため、迎撃ミサイルの発射時の風圧で窓ガラスが割れるなどの被害が生じるおそれがある、という内容だ。
確かに、都心は高層ビルの建設ラッシュが続いており、自衛隊施設の周辺もビルの高さを規制できるような状況にはない。市ヶ谷でなくとも、周辺に影響なくミサイルを発射できるような地域は少ない。新宿御苑や北の丸公園なら良さそうだが、今度は、市民の憩いの場所を奪うのかという批判があろう。
だが、根本的に考えれば、人口密集地が弾道ミサイル攻撃にさらされるとき、防ぐべき被害は窓ガラスではなく、ミサイルが着弾して多くの人命が失われることだ。それを防ぐために、ガラスが割れるなら住民の方には一時避難していただくとか、公園で憩う楽しみをしばらく我慢してもらうことがどうしてできないのか。
マスコミは、首都圏への機能集中や土地の高度利用を批判するわけではない。一方、それゆえにミサイル攻撃による被害が甚大になるという矛盾をどう解決するかという視点もない。未だに単なる軍事性悪説の批判記事がまかり通るのは残念だ。