朝雲寸言2007/2/22付

北朝鮮の核開発をめぐる6者協議が終わった。合意文書によれば、北が得るものは寧辺の核施設封印の見返りの5万トンの重油支援と、アメリカがテロ支援国家の認定解除を考慮すること。さらに将来、すべての核計画を申告し核施設を無力化すれば、95万トンの重油を受け取ることができる。
そこでは既存の核兵器の扱いに触れていないので、北は核を温存しながら百万トンの重油支援を受け取れるようにも読める。現に北朝鮮は、核施設を一時止めるだけで百万トンの重油が来ると言っている。だが、世の中、そう甘くはない。
一方、拉致問題の進展なしには一切支援しないというわが国政府の姿勢に対し、「バスに乗り遅れる」といった批判も聞かれるが、これもおかしい。北は、寧辺を一時止めるぐらいはやるだろうが、すべての核計画を正直に申告したり、すべての核施設を封印するとは誰も思っていない。
人権の盟主を標榜するアメリカが、今の北朝鮮をテロ支援国のリストから外すとも思えない。今回の合意は、北に目先の小利を与える代わりに、大利を餌に高いハードルを課したものとも読める。北朝鮮はそれほどまでに追い込まれているという見方だ。
いずれにしても外交に一方的な勝者はない。バスが来たからといって、行き先も聞かずに乗る馬鹿はいない。北のねらいが核を口実にした支援にあるならば、拉致の解決なくして支援なしとの原則は依然有効だ。