朝雲寸言2007/2/8付

安倍総理の「公約」に、「時代にあった安全保障のための法的基盤の再構築」がある。わが国周辺で攻撃されている米艦の防護、米国を狙う弾道ミサイルの迎撃、PKOなどで近傍の外国部隊を救援するといったケースについて、従来の集団的自衛権に関する憲法解釈を再整理する、ということらしい。
これらは、防衛政策に携わる者にとって永年の懸案事項だったが、大方の見方は、わが国周辺で米軍が攻撃されるような事態はほとんどの場合「日本有事」に連動するので、現実的には、集団的自衛権を持ち出すまでもなくわが国の防衛として対処できると考えられてきた。
逆に、地球の裏側で米軍が攻撃されたり、米軍が一方的に他国の沿岸で威嚇行動を行った結果攻撃されるような場合には、憲法を持ち出すまでもなく、わが国が反撃することはありえない。弾道ミサイルの場合も、対象国に最も近い在日米軍をほったらかして後方の米国本土だけを攻撃することは考えにくい。これも日本有事と直結するか、日本とは全く関係ないかのいずれかだ。
PKOで言えば、そもそも国連のマンデートで行動する軍隊に「自衛権」を適用することには論理矛盾がある。国連憲章51条は、安保理が行動を起こす前の措置だ。このように見てくると、この「公約」は、一見分かりやすいようで、実は何をすべきなのかがよく分からない。総理の傍らには、防衛の分かるブレーンが不可欠だ。