9月の朝雲ニュース
 
グラフページ
「朝雲」9月4日付より
富士総火演 現代火力の威力まざまざ
防御戦闘など展示 軽装甲機動車も初登場
防災の日 空自機で続々応援部隊 入間基地初の主会場 人員・物資空輸の拠点に


 
 日時
 ニュースタイトル
9月25日付

1. クラスター爆弾や対戦車地雷、不発砲弾に対応 鎖式ハンマー回転させ地雷処理
  地中の不発弾鋤で回収 山梨日立建機の「BM307-VFRM35」 マグネットで吸着

2. 防衛トピックス  
  海 外  APCに追加装甲  5胴船の軍艦提案
  国 内  Q70最新機種展示  仮想試験技術開発

3. 世界の新兵器
  海軍無人戦闘機X47A(米) 空母から自動離着艦

9月25日付

1. 石破長官が留任 組織・装備効率化を 小泉首相指示 第2次改造内閣発足

2. 自衛隊員の不祥事防止へ 有識者会議など設置

3. 旧軍遺棄化学兵器 中国から6隊員帰国 砲弾51発など回収

4. 海自横須賀地区の分散施設を集約へ 工場跡地の取得で 久里浜は移転、田浦は大幅拡充

5. 2.5キロ先の標的機撃墜 静内射場でOH1 空対空ミサイル初実射

6. 後方乱気流の教育を徹底へ U36A事故最終報告

9月18日付

1. 「困難な任務、周到な準備を」 イラク派遣で首相 高級幹部会同 組織効率化も要望

2. C-130部隊に1級賞状 伊─ヨルダン間で イラク救援物資空輸

3. イラクに調査団派遣 外務・防衛庁職員など 現地のニーズ把握へ

4. 大量破壊兵器 豪主催、拡散阻止訓練 海幕などオブザーバー3人派遣

5. 16年度業計 期待の新規装備 ヘリ11機を搭載・運用 海自16DDH
  甲板下に格納・整備スペース 対空監視射撃指揮 イージス艦なみ機能

9月11日付

1. 朝鮮半島非核化で一致 艦艇相互訪問を早期実現 日中防衛首脳会談 次官級協議も実施へ

2. 弾道ミサイル防衛 新規事業を事前評価 代替手段なく有効

3. 10カ国13寄港地を訪問 遠航部隊が帰国

4. 空幕長が訪米ワシントンで世界空軍参謀総長等会同 

5. 「変革期の貢献に期待」陸幕長 曹友会連合会 発足15周年祝う

6. 空幕、20キロを徒歩通勤 交通機関マヒ想定 今年も緊急登庁訓練

9月4日付

1. 16年度防衛費 概算要求 4兆9600億円に 弾道ミサイル 迎撃システムを整備
  海上(SM3)地上(PAC3)の両型 イージス艦の改修など 現有の装備を活用

2. 中国河北省の遺棄化学兵器 陸自8人を派遣 発掘・識別作業など指導

3. 護衛艦「さざなみ」が進水

4. 北の核不拡散で一致 石破長官 NZ国防相と会談

8月28日更新

1. 技本開発中の次期輸送機(CX) 試作機にGE社製エンジン搭載
  翼など同じパーツ使い設計 次期哨戒機(PX)と共用化図り開発

2. 防衛トピックス
  海 外 独軍に装甲救急車/PAC3能力向上へ
  国 内  FC潜航試験に成功

3. <世界の新兵器> 沿岸戦闘艦(米) ステルス性持つ軽快艦
 

 

 
 
 9月25日付  防衛技術

 

クラスター爆弾や対戦車地雷、不発砲弾に対応
鎖式ハンマー回転させ地雷処理
地中の不発弾鋤で回収
山梨日立建機の「BM307-VFRM35」
マグネットで吸着

山梨日立建機(株)(山梨県南アルプス市)はこのほど、従来の対人地雷のほかにクラスター爆弾や対戦車地雷、不発砲弾の処理が可能な40トン型の大型地雷処理機「BM307−VFRM35」を開発した。同処理機はアーム先端に付けた鎖式のハンマーを回転させて地面をたたき、地中の地雷等を破壊する。さらに不発弾等を掘り起こす鋤と、それらを磁石で吸い付け回収できるマグネットも付けられており、従来にない多用途な機能を持つ有人/遠隔操縦型の地雷処理機となっている。そのメカニズムを取材した。

アーム先端に付けられた鎖式の回転ハンマーで地雷の処理を行うBM-307-VFRM35


同社は2000年3月から地雷処理機をカンボジアやアフガニスタン、ニカラグアなどに計34台を輸出。これら機材の実績を踏まえ、新たに開発されたのがフレール・ハンマー方式の「BM307−VFRM35」だ。
同社の地雷処理機の特徴は汎用の油圧ショベルを改造し、アーム先端部分に地雷処理機具を装着したところにある。外国製にみられるブルドーザー型に比べ、車両から離れた場所で処理作業ができ、地雷が爆発した場合でも操縦員、車両に被害が及ばないよう工夫されている。
これら車両はいずれも処理機具を外し、通常のショベルなどに付け替えれば、土木工事にも使用できる。最初にカンボジアに送られた15トン型の初号機はすでに3000時間の運用実績を持つが、消耗品の交換をしたほかは問題なく稼働しているという。
今回開発された「BM307−VFRM35」は、強力な対戦車地雷の爆発の衝撃にも耐えるよう、ベース車両には35トン型の大型車両を使用、バランスを取るためのウエイトと併せ、総重量は41トンにもなる大型地雷処理機だ。
地雷の処理方法は、回転軸に付けられた鎖式のハンマーで地面をたたき、小型の対人地雷なら破壊、対戦車地雷では誘爆させるというもの。鎖は回転中にからまないよう、長さ・ハンマーの重さなどに微妙な違いをもたせてある。また対人地雷が壊れずに地表に飛び出したりしないよう、回転速度も最適な状態に設定されている。

装甲板の下には不発弾を掘り起こす鋤と、回収用の大型マグネットが付けられている

同処理機の防護策は装甲板後方にショック・アブソーバーが付けられ、上方には爆風抜きの窓もある。また、下部の隙間には鋤の前に鎖と鉄板、さらにその後方はブルドーザーとしても使用できる大型の排土板で車体はがっちりと防護されている。運転席の正面ガラスにも防爆用の強化透明樹脂が張り付けられている。
同処理機で特に優れているのは、危険物に人を近づけることなく各種作業をすべて機械で行えるよう配慮されている点。装甲板下の鋤は地下50センチほどをたやすく掘り起こすことができ、出てきた不発弾は鋤の後方に収納されている大型マグネットを下方に伸ばし、拾い上げることが可能だ。
このほか、同車は小型のバスの中などにセットした操縦装置でモニターを見ながら遠隔操縦もできる。
これらにより、同社では「地雷等の除去率は100%に近いものになる」と説明。国連の地雷処理の基準は99・6%となっているが、同処理機は十分にこの基準を満たすことが可能という。
同社の雨宮清社長は「この地雷処理機は3年間のノウハウをつぎ込んで開発した。車両・人員の安全性を高めるため車体の重量を重くしたが、搬入するのが難しくなるという事情もある。そこで今後は車体の各部分を10トン程度に分解し、航空機などでも輸送できるように改良していきたい」と話している。

 
 
 9月25日付  防衛技術

防衛トピックス

海  外

APCに追加装甲
 
イラクに展開している米陸軍は、走行中の車両等が依然、RPG7などによる攻撃を受けていることから、「ストライカー」装輪装甲車にロケット弾対策用の追加装甲を施すことを決めた。
今回取り付けられるブラインド状の装甲は、今後、本格的な追加装甲が登場するまでのつなぎで、従来の装甲の外側に間隔を置き取り付けられる。これによりロケット弾の直撃を回避し、車両の残存性を高めるという。


5胴船の軍艦提案
 
英BMT社は英海軍の将来水上戦闘艦の船体に革新的な「ペンタマラン(5胴船)」を提案している。同船型は細長い主船体の両側に二つずつアウトリガーと呼ばれる副船体を付けたもの。
この形だと50ノット(92キロ)という高速を出せるほか、悪天候でも安定した航行が可能になるという。すでに同社はペンタマランの高速コンテナ船を設計=イラスト=、実用化に向けた動きをしている。なお、英海軍ではすでに「トリマラン(3胴船)」の試験船を建造、実用化のためのテストを続けている。


国  内 

Q70最新機種展示
 
米ロッキード・マーチン社は9月19日、東京都新宿区で艦艇向けの戦術コンピューター「AN/UYQ70」新機種の展示会を開催した。
同機は艦艇が戦闘を行う上で必要なC4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察)の中枢を担う機器で、イージス艦をはじめ護衛艦や潜水艦などに搭載されている。今回の展示会では次世代コンソールなどを使ったデモンストレーションが行われ、多数の関係者が研修した。

仮想試験技術開発
 
石川島播磨重工業と航空宇宙技術研究所はこのほど、ジェットエンジンのタービンの仮想試験技術をスーパーコンピューター上で行う技術を開発した。4段低圧タービンの設計開発に同数値シミュレーションを使い「CF34−10ターボファンエンジン」を試作したところ、予測していた通りの性能達成が確認できた。同方法だと、開発期間を4分の1程度に短縮できる。今後は第2段階として圧縮機の仮想試験技術に取り組んでいく。

 
 
 9月29日更新  防衛技術

<世界の新兵器>

海軍無人戦闘機X47A(米)
空母から自動離着艦

米国防省先進研究計画局(DARPA)と米海軍の要求に基づき、ノースロップ・グラマン社が開発中の「X47Aペガサス」が去る2月、カリフォルニア州チャイナレークの海軍航空兵器センターで初飛行に成功した。本機は、米海軍とDARPAが進めるUCAV−N(海軍無人戦闘機)プログラムの一環として、空母上での自動飛行運用に適する空力特性等をデモンストレーションするための先進技術実証機である。同プログラムでは、本機のほかにボーイング社がX46を開発中で、UCAV−Nの契約取得を争っている。
無人機の歴史はすでに半世紀に及んでおり、当初は標的として運用されてきたが、その後、戦術/戦略偵察、監視、気象観測、通信中継、電波妨害と用途が広がり、湾岸戦争、ボスニア紛争、アフガニスタン紛争、また先日のイラク戦争等における活躍は、記憶に新しいところである。さらに近年は、敵防空網制圧(SEAD)や対地攻撃といった危険な直接任務には無人機を使い、有人機はそれらを空中指揮・統制する「有人機・無人機連携システム」により、作戦遂行能力と残存性を飛躍的に高めようとする構想が研究されつつある。すでに飛行試験中のDARPA/米空軍要求のUCAV(無人戦闘機)であるボーイングX45Aも同じ目的で開発されつつある。
本機の開発コンセプトは、革新的な艦載の戦術航空戦力を持つとともに、取得・運用コストの大幅な削減を狙うものである。本機は、菱形の平面形を持つ無尾翼機で、ステルス性を第一義に考慮した形状をしており、機体構造はほとんどが複合材である。空気取入口まわりや全機のイメージが、ステルス爆撃機B2と似ているのは、ノースロップだからであろう。その機体諸元は、全長8・5メートル、全幅8・47メートル、全高1・74メートル、空虚重量1・74トン、ペイロード約1・8トン、運用高度1万メートル以上、行動半径1670キロメートルで巡航速度は高亜音速となっている。エンジンは、P&W−CのJT−15D−5C(空自T400のE/Gと同じシリーズ)1基である。今後、空母への自動離着艦を含め約40フライトの飛行試験が予定されている。
なお、米国防省は無人戦闘機の統合も考慮中であるため、今後はX45Aとのフライオフも行われるものと思われる。21世紀は、無人機が有人機に替わって戦場の主要兵器になる日が来るのかもしれない。
高島秀雄(財)防衛技術協会・客員研究員

 

 

 
 
 9月25日付  

 

石破長官が留任
組織・装備効率化を
小泉首相指示 第2次改造内閣発足

自民党の総裁選挙が9月20日に行われ、小泉純一郎首相が再選された。首相は翌21日、安倍晋三官房副長官を党幹事長に起用するなど党3役人事を固めるとともに、22日に内閣改造を行い、防衛庁長官に石破茂現長官の留任など閣僚人事を決め、同日夕、自民、公明、保守新3党連立の第2次改造内閣が発足した。留任した石破長官は会見で「次期国会ではテロ特措法の改正やイラク支援法について全力で取り組んで行きたい」と述べた。

「テロ、弾道ミサイル対処に全力」

小泉首相は内閣改造に際し、9月26日にも召集される臨時国会で、11月1日で期限切れとなるテロ対策特措法の改正や、イラク復興支援特措法に基づく自衛隊の派遣など、防衛庁をめぐる重要案件が目白押しとなっていることなども考慮、石破長官の留任を決めたものとみられる。
石破長官は首相官邸での記者会見で、留任に当たって小泉首相から、「テロや弾道ミサイルなどの新たな脅威にも対応できるよう、現在の組織や装備を思い切って見直し、効率化を図るよう」指示されたことを明らかにした。
さらに長官は「テロや弾道ミサイルへの対応は喫緊の課題と承知している」とした上で、「法的な整備は大体終わっている。弾道ミサイルに対処することになった場合、整備や運用をどのようにやっていくかということについて、きちんと回答を出していかねばならないと思っている」と述べた。
また、この1年間をふり返り、「国民に対する説明責任ということをずっと言ってきた。諸外国に対する説明責任も果たしていかねばならない。防衛庁として今後とも取り組んでまいりたい」と述べた。
防衛庁長官の留任は過去、増田甲子七(第23代)、山中貞則(同30代)、坂田道太(同32代)、加藤紘一(同42代)、久間章生(同58代)各氏の例があり、石破長官は6人目で、平成9年の久間氏以来6年ぶり。
◇   
石破長官は改造内閣が発足した22日夜、防衛庁で記者会見し、要旨次のように語った。
一、防衛庁長官を再び拝命したが、テロや弾道ミサイル等の新たな脅威に対応できるよう現在の組織や装備を思い切って見直し、効率化を図るようにという総理の指示を生かしていくことが肝要と考える。
一、併せて近々召集が予定されている臨時国会でテロ特措法の改正、延長も必ず理解を得て成立させたい。イラクへの自衛隊派遣問題、(自衛隊の)あり方検討、来年度の予算など、今まで手がけてきたことを着実、確実に果たして行きたい。
一、(テロ特措法延長の必要性について)テロとの闘いが終わっていないということの一言につきる。多くの国の軍隊がアフガニスタン、インド洋上にあってテロとの闘いを進めている。わが国は武力行使をしないという前提の下で、できることをやってきた。国際社会に対する責任としてテロを根絶するための闘いをここでやめるということは許されない。それは日本国はテロとの闘いを放棄したということになる。

 
 
 9月25日付  

 

自衛隊員の不祥事防止へ
有識者会議など設置

防衛庁は9月11日、不祥事防止会議(議長・石破防衛庁長官)を開き、同会議の下に副長官を長とする「人事関係施策等フォローアップ会議」を設置するとともに、部外有識者からなる「人事関係施策等検討会議」を開くことを決めた。不祥事防止会議の開催に当たって石破長官は「防衛庁・自衛隊は日本の中で一番規律正しく、一番信用され、自衛隊を見習えと、どのような組織からも言われる組織でなければならない」と述べた。
新たな二つの会議は、不祥事防止の取り組みを一層充実・強化していくために、平成12年5月に不祥事防止会議で取りまとめられた不祥事防止施策が実効性を上げているのかどうかについて検証を行ったうえで、さらなる施策を講じることが重要との観点から設置が決まった。
同会議では、(1)今後とも引き続き不祥事防止施策を推進し、フォローアップを適切に実施していく一方、とくに自衛隊員の服務規律の維持を目的とした人事関係施策などを重点的にフォローアップする必要がある(2)部外有識者からフォローアップ作業の点検・評価および部内検討だけでは得られない不祥事防止に係わる有用な視点を提示してもらい、不祥事防止施策の充実・強化を図る──としている。
「フォローアップ会議」は副長官を議長、人教局長を副議長に、陸幕人事部長、海、空幕両人教部長、統幕1室長らで構成。現行の不祥事防止施策の実施状況について点検・評価を行い、部隊の曹クラスや指揮官、服務担当者と直接意見を交換して不祥事防止施策の充実・強化策を検討、その結果を不祥事防止会議に報告する。
一方、「検討会議」は大学教授、弁護士、作家、自衛官OBら8人で構成。フォローアップ会議との意見交換を通じて不祥事防止施策の実施状況について点検・評価する一方、必要に応じて曹クラスから意見聴取するとともに、部隊に赴き指揮官らとも意見交換。防衛庁がどのように不祥事防止に取り組んでいくべきかについてフォローアップ会議に提言する。

 

 
 
 9月25日付  

 

旧軍遺棄化学兵器 中国から6隊員帰国
砲弾51発など回収

旧日本軍遺棄化学兵器の発掘・回収事業で、中国河北省石家庄市に派遣されていた陸自隊員6人が帰国し9月17日、防衛庁で石破防衛庁長官に帰国を報告した。石破長官は「この事業は長期にわたるようだが、これからも頑張ってほしい」と、隊員の労をねぎらった。
 
同事業は化学兵器禁止条約に基づき、中国内に遺棄されたといわれる約70万発の旧日本軍の遺棄化学兵器を回収するもので、日中両国が平成12年から実施している。日本側は内閣府を主管に外務省、防衛庁、日本国際問題研究所軍縮不拡散促進センター、民間専門家ら40人前後を毎回派遣している。
 
今回、防衛庁から派遣されたのは内閣府遺棄化学兵器処理担当室に出向中の金子寿弥、秋山将之両3佐をはじめ福島恵3佐(4化防隊)、岩上信男(10特連)、中村和弘(北海道処)両1尉、名取賢児(1化防隊)、内田輝彦(101不発弾処理隊)両1曹、雑賀誠2曹(3師団付隊)の8人。
 
9月3日に成田を出発、同6日から19日まで河北省石家庄市白鹿泉で遺棄化学兵器の発掘・回収作業で51発を回収、金子、秋山両3佐を除き6人が同16日に帰国した。
 
防衛庁はこれまで、平成12年9月に黒龍江省北安市に自衛官10人、同14年9月に同省孫呉県に同8人をそれぞれ派遣、発掘・回収作業を指導している。

慎重に化学砲弾発掘
通常弾と違う怖さ
75ミリ弾が51発 地下1メートル腐食が進む

「化学剤入りの砲弾を扱うのは初めてだったが、事前の訓練どおり作業ができた」──。旧日本軍遺棄化学兵器の発掘・回収事業で中国に派遣された陸自隊員8人のうち6人が9月16日、任務を終えて帰国した。発掘現場は首都・北京の南西約300キロの石家庄市白鹿泉という山間の地で、旧日本軍の化学砲弾等51発の回収作業に当たった。暑さの中、同6日から行われた10日間の作業を振り返ってもらった。


遺棄化学砲弾の発掘現場に立つ陸自派遣隊員。防護服を着用し、エアホースで空気の供給を受けている


防護服の内側は汗でびっしょり

今回、政府から派遣された日本側スタッフは自衛官8人のほか、民間技術者ら合わせて39人。自衛官は武器、化学科職種の砲弾や化学防護の専門家だ。帰国した6隊員は4化防隊・福島恵3佐(42)、10特連・岩上信男1尉(43)、北海道補給処・中村和弘1尉(29)、1化防隊・名取賢児1曹(38)、101不発弾処理隊・内田輝彦1曹(37)、3師団付隊・雑賀誠2曹(39)。
派遣前の7月に英国の国防省化学技術研究所(DSTL)で約2週間、化学砲弾の探査、検知、掘り出し、回収、安全化処理などの注意点や取り扱い方法を研修、万全の態勢で臨んだ。
発掘現場は石家庄市街から車で約1時間、山間部に入った白鹿泉という山の中。中国側が仮の保管場所としていたところで、10メートル四方の広さがあり、砲弾は地下約1メートルに埋設されていた。
福島3佐が現場指揮官となり、幹部と陸曹が2人1組でチームを組み、さらに武器科と化学科を組み合わせて作業に当たった。現地は日中の気温が最高で36度、発掘現場の天幕内では40度にも達する予想以上の暑さだった。このため午前と午後の約2時間ずつを作業に充てた。それでも「1組30分交代でローテーションを組んだが、ゴム製の防護服を着ているので大変な暑さで、汗が長靴や手袋の中にたまってひっくり返すと流れ出るほどだった」(福島3佐)という。



発掘・回収した旧日本軍の75ミリ化学砲弾を示す派遣隊員。
窒息剤のホスゲンが封入されており、ひどく腐食が進んでいる

中国側のスタッフは約150人。こちらも交代で発掘作業に当たり、砲弾の手前10センチ程度から自衛隊員が慎重に手作業で掘り出した。化学剤が漏れていないか検知器で確認しながら作業が行われ、掘り出した砲弾にはその場で識別票を貼付、データシートを作成し弾薬箱に納める  という手順で行われた。
今回の任務について化学科職種20年の雑賀2曹は「弾殻は薬きょうがついていて腐食しており、やはり緊張を強いられる作業だった」という。沖縄で不発弾処理12年の経験がある内田1曹は「化学剤は漏れれば危険であり、通常弾とは違った怖さがあった」、同じく化学科隊員の名取1曹は「あらためて化学剤の怖さを実感。プレッシャーの中で安全にできたことが自信につながった」。
武器科の岩上、中村両1尉は「初めて顔を合わせる臨時編成だったが、整斉と作業できたのはそれぞれがプロフェッショナルだったからだと思う。無事故で作業を終えてホッとしている」と、それぞれ語った。
発掘した砲弾等は51発で、いずれもさびや腐食が進んでいた。幸い化学剤が漏れているものはなかった。砲弾の種類は75ミリ砲弾だったという。
6人は16日に帰国したが、現地には内閣府遺棄化学兵器処理担当室に出向している秋山将之、金子寿弥両3佐が現場に残って砲弾の鑑定などに当たり、19日には今回予定されていた回収作業をすべて終えた。

 

 
 
 9月25日付  

 

海自横須賀地区の分散施設を集約へ
工場跡地の取得で
久里浜は移転、田浦は大幅拡充

神奈川県横須賀市内の海上自衛隊施設の整理・統合が平成16年度から始まる。移転が決まっている同市田浦港町の関東自動車工業の跡地を核に海自施設を移転・集約するもので、海自は来年度概算要求に用地取得費の一部を盛り込む一方、地元横須賀市に計画を提示、基本合意に達している。これにより田浦地区の敷地が大幅に拡充されるのをはじめ、同市久里浜地区にあった海自施設がすべて移転・廃止、周辺が宅地化している同市大矢部の大矢部弾庫も移転、用途廃止されることになった。

横須賀市とも基本合意

海自横須賀地区は狭い地域に各施設が分散配置されており、円滑な部隊運用のための後方支援施設や生活関連施設などの整備が困難だった。ところが、同市田浦港町の第2術科学校に隣接する関東自工が平成18年までに本社部分を除く工場などを静岡県に移転させることになり、13年10月、海自に跡地の利用を打診、整理・統合計画が具体化した。
海自は跡地取得に伴う施設の整理・統合計画を策定して8月29日に横須賀市に提示、同市も市の基本理念である基地の拡大を伴わない集約・統合の趣旨に沿っているとして基本的に合意した。
海自の整理・統合計画は▽大矢部弾庫(同市大矢部)を比与宇弾庫(田浦港町)に集約、移転▽潜水医学実験隊と横須賀病院教育部(同市長瀬)を田浦地区へ集約、移転▽久里浜貯油所を横須賀市が使用、市営長浦桟橋を海自が使用▽関東自工の本社所在地を除く跡地については海自が使用  の4項目。
中でも関東自工の本社所在地部分を除く敷地は約7万5000平方メートル、船越町の同社研究所敷地は約5万4000平方メートルあり、いずれも海自施設と隣接していることから、施設の集約化を図る上で願ってもない立地条件となっている。
関東自工跡地には潜水医学実験隊、横病教育部、体育館、生活関連施設などが移転する予定。市営長浦桟橋を海自が使うようになると、船越地区との一体的な運用も可能になり、効率化が図られる。
大矢部弾庫と潜水医学実験隊、横須賀病院教育部が移転した跡地は国の普通財産に繰り入れられる。また、久里浜港の先端部にある貯油所には、横須賀市が港湾施設の整備を予定している。

 

 
 
 9月25日付  

 

2.5キロ先の標的機撃墜
静内射場でOH1
空対空ミサイル初実射

陸自の国産OH1観測ヘリコプターが搭載する空対空ミサイルの初の実射試験が9月17日、北海道・静内対空射場で行われ、発射された2発のミサイルは2・5キロ離れた目標の小型標的機を直撃、試験は成功した。陸自航空機が空対空ミサイルを発射したのは今回が初めて。
 
ミサイルは熱源追尾型の国産91式携帯地対空誘導弾を空対空用に改良したもので、OH1ヘリの機体の両側に吊るされたランチャーから前方に現れた無線誘導の標的機に向けて2発を発射。いずれも移動目標(熱源)の標的機を直撃、撃墜した。
 
試験はOH1ヘリの空対空ミサイル射撃管制の検証を目的に行われたが、OH1が作戦飛行中、遭遇した敵攻撃ヘリ等に対処できることが実証された。
 
今回の実射データを基に、今後、実用化のための各種試験が行われる。

 
 
 9月25日付  

 

後方乱気流の教育を徹底へ
U36A事故最終報告

 

さる5月21日、海自岩国航空基地で、海自31航空群91飛行隊のU36A訓練支援機が連続離着陸訓練中、US1A救難飛行艇の後方乱気流に巻き込まれて飛行場内に墜落、機長以下4人が死亡した事故で、海上自衛隊は9月9日、事故調査の最終結果を発表した。
 
7月29日に発表された中間報告によると、事故原因は、事故機に30秒ほど先立って離着陸を行ったUS1Aの後方乱気流が滑走路上空に滞留。事故機が着陸後、再離陸した際にこの乱気流に巻き込まれ、操縦不能となって地面に衝突した、とされた。
 
最終報告ではさらに、巻き込まれた主な理由として、乱気流の影響を受ける可能性を認識しながら滑走路への進入を続けた機長の判断処置不適切、US1Aの後方乱気流を想定した飛行準則等規則類の整備不十分などを看過した海自の指揮監督、指導監督不十分が挙げられる、としている。
 
また、風の影響で後方乱気流が滑走路上に滞留しやすかった事故当時の気象条件も副次的な要因として挙げている。
 
最終報告は再発防止策として、(1)後方乱気流の影響範囲等の諸規則等への記載(2)安全管理態勢の強化(3)訓練管理の徹底(4)訓練環境の整備──の4点を盛り込んでいる。
 
(1)は、操縦士、管制官に、後続する航空機の安全間隔などについて認識させるため、飛行準則等規則類にUS1Aの後方乱気流に対する注意事項、乱気流の影響、離隔距離標準などについて記述する。(2)は、搭乗員、整備員、管制員が体験した業務上の危険に関する情報が共有されるように、既存の危険報告などの制度をこれまで以上に活用し、安全教育を徹底する。
 
(3)は、機長の判断能力を適切に育成するため、通常の飛行訓練でも想定を付与するなどの方策を検討する。(4)は、国内でシミュレーターによる訓練機会のないU36Aのため、シミュレーターの取得、または国外での訓練を検討する。
 
なお、U36A型機は中間報告の時点で、空団司令部の監察、指導に基づく安全対策によって運航に支障がないと判断され、7月30日から飛行を再開している。

 

 

 
 
 9月18日付  

 

「困難な任務、周到な準備を」
イラク派遣で首相
高級幹部会同 組織効率化も要望

第39回自衛隊高級幹部会同が9月10日、防衛庁で開かれ、自衛隊最高指揮官の小泉首相と、石破防衛庁長官以下、内局、統・3幕の高級幹部、3自衛隊の将級指揮官、各機関の長、施設庁長官と各施設局長ら84人(うち自衛官52人)、陪席者68人(同38人)が出席、防衛庁の政策方針の周知徹底を図るとともに、当面する自衛隊の重要課題について意見交換した。小泉首相は訓示で、通常国会で成立したイラク人道復興支援特別措置法に触れ、「今後、現地情勢の把握に努め、状況を見極めた上で、派遣を検討する」と政府の方針を示すとともに、「困難な任務にも十分対応できる心構えをもって周到な準備を」と要望した。小泉首相の高級幹部会同出席は初めて。

(首相訓示)

会同は午前9時20分から防衛庁A棟講堂で開かれ、冒頭、小泉首相は訓示で、イラク人道復興支援特措法に基づき自衛隊のイラク派遣を政府の方針として改めて示したほか、(1)世界はテロや弾道ミサイルなどの新たな脅威に直面している。自衛隊の統合運用など現在の組織や装備を新たな脅威にも対応できるよう見直し、効率化を図っていく必要がある(2)わが国は冷戦期から一貫して適切な規模の防衛力と日米安保の堅持を国防の2本柱としてきた。わが国が米国との間で築き上げてきた幅広い分野での信頼関係を一層強化し、日米安保体制をより緊密かつ実効性のあるものとすることが重要(3)政府は有事関連3法案が成立したのを受け、国家の緊急事態に対処できるよう国民保護法制の整備などに努める──ことを強調。
その上で「わが国の平和と安全を確保する役割を担う自衛隊に対する期待はかつてないほど高まっている。精強で、信頼される自衛隊構築のため、諸君が今後とも大きな力を発揮するよう切望する」と述べた。
続いて石破長官が訓示に立ち、米中枢同時テロから2年がたち世界はテロとの闘いの時代を迎えていることを改めて指摘するとともに、弾道ミサイルや核・生物・化学兵器の拡散が極めて懸念されているとして、「このような中で、わが国が憲法を順守し、専守防衛に徹して、いかに抑止力を発揮するかが国民に対する我々に課せられた喫緊の責務」と述べた。
また、自衛隊の体制整備を進めていく上で、国民や諸外国に対する説明責任の重要性を指摘し、「私は本来の意味における民主主義的な文民統制を実現したい。それは主権者たる国民に説明責任を果たし、政治が正確な知識に基づく判断を下すことだ。その過程で、いわゆる軍事の専門家である自衛官、法律や予算、技術の専門家である事務官、技官の皆さんが車の両輪となり、最高指揮官の内閣総理大臣を支えることがもっとも肝要」と述べた。
この後、赤城副長官、小島政務官のあいさつ、守屋事務次官の説示、石川統幕議長のあいさつに続き、今会同のゲストスピーカー、漫画家の弘兼憲史氏が約1時間「『マンガ』は社会の役に立つか」と題して講演した。弘兼氏は『課長島耕作』などの作品で知られ、平成7年から防衛庁のオピニオン・リーダーを務めている。
午後は各自衛隊からの報告が行われ、中島栄一海自幹部学校長が「第8回西太平洋海軍シンポジウムについて」、新野修空自北空司令官が「コープサンダー演習への参加について」、金野晴己技本第3研究所長が「無人機に関する研究開発について」などを報告した。
会同出席者は同日夕、首相官邸で首相主催の懇親会に出席した。
翌11日は午前10時半から市ヶ谷地区で整備を進めていた自衛隊殉職者慰霊碑地区披露式に参列した後、石川統幕議長以下57人の自衛官が皇居を訪れ、天皇陛下にお目にかかった。

 

 
 
 9月18日付  

 

C-130部隊に1級賞状
伊─ヨルダン間で イラク救援物資空輸

石破防衛庁長官は9月16日、国際平和協力法に基づきイラク被災民に人道救援物資などを空輸したイラク被災民救援空輸隊等(空輸隊長・植田輝久1輸空副司令以下144人)に1級賞状を授与した。
 
空輸隊等は今年7月4日に閣議決定された「イラク被災民救援国際平和協力業務実施計画」に基づき、1輸空(小牧)のC130H輸送機3機と2輸空(入間)のU4多用途支援機1機、空輸隊98人のほか、運航支援隊や救援整備隊を含む支援機隊等46人の計144人で編成。空輸隊は7月10日に日本を出発、8月18日の帰国まで、ヨルダンのアンマンを拠点に国連備蓄基地のあるイタリア南部ブリンディシ軍民共用空港とアンマンのマルカ国際空港間で食糧備蓄用の運搬パレットやプレハブ住宅資材など計約140トンを輸送した。授与式は同日午前、長官室で行われ、小島政務官、守屋事務次官、西川運用局長、小林人教局長、星野空幕副長らが立会するなか、石破長官は「全隊員が国際平和協力業務の重要性を深く認識し、一致団結、平素の訓練成果を遺憾なく発揮した」と述べ、副賞の記念品を添えて植田空輸隊長に1級賞状を授与した。

 

 
 
 9月18日付  

 

イラクに調査団派遣
外務・防衛庁職員など 現地のニーズ把握へ

イラク特措法に基づき自衛隊をイラク復興支援に派遣するための政府調査団が9月14日、成田から出発した。調査団は内閣府、外務省、防衛庁の職員で構成されているが、具体的な人数や日程などについては「安全確保の観点」から明らかにされていない。
 
調査団の派遣に関連して石破防衛庁長官は9月16日の閣議後の記者会見で、「今回は特措法に基づき活動を行うに当たり現地のニーズや治安情勢を十分に把握するための調査」と述べ、イラク国内の医療、給水、浄水、電力供給など人道復興支援活動を中心にした必要事項を調査し、基本計画の策定に資するとしている。

 

 
 
 9月18日付  

 

大量破壊兵器 豪主催、拡散阻止訓練
海幕などオブザーバー3人派遣

防衛庁は9月10日から16日まで、オーストラリアで行われていた拡散安全保障イニシアチブ(PSI)海上合同阻止訓練「パシフィック・プロテクター」に、内局から1人、海幕から2人をオブザーバーとして派遣した。
PSIは大量破壊兵器、ミサイルなどの拡散を防ぐため、日、米、豪など11カ国が国際法、各国の国内法に基づいて、どのような効果的措置を取り得るかを協力して検討するもので、ブッシュ米大統領が提唱、関連して陸、海、空の合同阻止訓練を複数回行うことが合意されている。今回はその1回目で、豪が主催し、日本、フランス、米国が参加。日本からは海上保安庁の巡視船と特殊部隊が参加した。
防衛庁は、今後の自衛隊のPSIへの関与のあり方を検討するために、独、伊などとともにオブザーバーを派遣した。

豪の国際歯科会議に歯科医官1人を派遣

海上自衛隊は9月14日から18日まで、オーストラリア・シドニーで開かれた2003年国際歯科会議に、大湊病院の歯科医官1人を派遣した。
軍事医学に関する国際会議に参加することで、得られた情報を海自の歯科医療態勢確立に反映させるとともに、各国歯科医官との交流を通じて相互理解を促進するのが狙いで、同会議への海自隊員派遣は初めて。
 

敷設艦「むろと」がグアム島方面訓練へ

海自海洋業務群の敷設艦「むろと」(艦長・島田喜末1佐以下約120人、定系港・呉)は9月11日から11月5日まで、平成15年度グアム島方面派遣訓練を行う。
米海軍の協力で行うもので、昭和55年から実施しており今回が24回目。

 
 
 9月18日付  

 

16年度業計 期待の新規装備
ヘリ11機を搭載・運用 海自16DDH
甲板下に格納・整備スペース
対空監視射撃指揮 イージス艦なみ機能

防衛庁の16年度概算要求と業務計画(案)が8月末に決まり、弾道ミサイル防衛の整備着手を含む19の新規事業が盛り込まれた。この中から、海自の1万3500トン型ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)と空自のF15戦闘機の近代化改修、支援戦闘機用の爆弾用精密誘導装置について、そのメカニズムと導入の利点などをまとめた。

特大のエレベーターも2基

16年度業務計画案に盛り込まれた全通の飛行甲板を持つ海自の1万3500トン型ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)は、退役が近い「はるな」型DDH(約5000トン)の代替・更新のためで、現中期防では2隻の建造が決まっている。
 今回公表された16DDHのイメージ図は、中期防策定時(平成12年)に示されたイメージ図とは上部構造物、飛行甲板の部分が大きく異なっている。この形状の違いについて防衛庁は、(1)甲板が前後に分離している形状では、艦橋が障害物となって乱流が発生しやすく、前部甲板に着艦するヘリは操縦不能となる危険性がある(2)後部甲板への着艦も艦橋が障害となって水平線が見えにくく、ヘリは艦の動揺に追随しがちになり、安全な着艦に課題がある(3)甲板が前後分離型ではヘリスポットが2基しか取れないのに対し、全通型では3基以上が確保できるため、作戦時、4機のヘリコプターの同時発着艦が可能──と説明している。
  公表された16DDHの諸元は、基準排水量が1万3500トン、全長195メートル、機関ガスタービン方式・2軸、速力30ノット(55キロ)、乗員347人(うち司令部要員25人)。主要装備は高性能20ミリ機関砲2基、短SAM(短距離地対空ミサイル)・アスロック兼用垂直発射装置1式、魚雷発射管2基。艦載ヘリは諸元では3機となっているが、作戦時、最大11機まで搭載・運用できるのが同艦の最大の特徴だ。
  このため甲板直下は後方区画の3分の2がヘリの格納・整備スペースとなっていて、ここに7機、甲板上に4機の計11機が搭載できる。格納庫からヘリを持ち上げる特大のエレベーターも2基備え、これらにより同艦は1個航空隊に匹敵するヘリコプターと電子機器や武器等の整備が可能となる。

 

大規模災派や邦人救出にも

16DDHの船体規模を外国の艦艇と比較すると、英「インビンシブル」級空母(満載排水量2万600トン、全長209メートル)、スペインの空母「プリンシペ・デ・アストリアス」(同1万7188トン、同196メートル)、伊空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」(基準排水量1万100トン、同180メートル)に匹敵する。これらの艦種はいずれもCVS(対潜空母)となっている。
16DDHの艦載機はヘリだけで、上記3艦が搭載する「シーハリアー」など垂直離着陸型の戦闘・攻撃機の導入計画はない。また、スキージャンプのような設備を備えず、高温のジェットエンジンの排気に耐える設計要求もしていない。

 

同艦は、海自1個護衛隊群(護衛艦8隻・艦載ヘリ8機)を上回る航空能力を有することから、実質的には「護衛空母(CVE)」もしくは「ヘリ空母(CVH)」と呼ぶのが適切かもしれない。しかし、「多数の対地攻撃機などを搭載し、それらがひとつのシステムとして機能する大型艦艇」と定義される攻撃型空母とは、一線を画している。
このほか16DDHの特徴として、船体と艦橋などの上部構造物の側面がすべて傾斜し、ステルス化が図られていること、イージス艦や訓練支援艦と同様、艦橋部に4面のフェーズドアレイ・レーダーが装着され、対空監視能力を強化していることなどがある。また、射撃指揮装置には新型のFCS3改が搭載される予定だ。
16DDH型の導入で大きく改善されるのは、海自の水上輸送能力だ。海自にはやはり全通甲板型の大型輸送艦「おおすみ」型(8900トン)が3艦就役しているが、同艦にはヘリ甲板はあるものの、ヘリの搭載・運用能力はない。このため、東チモールPKOの際の陸自部隊の揚陸では、エアクッション艇で時間をかけて作業を行わざるを得なかった。もし16DDHが大型輸送ヘリを搭載して随伴すれば、物資の揚陸ははるかに効率化される。
大規模災害派遣でも同じことが言えるほか、外国で戦争や動乱が起こって緊急に邦人を輸送するような場合にもヘリが多数運用できれば迅速な救出・輸送が可能になる。
大きく余裕のある船体は、乗員にとっても航海中の負担軽減となる。居室やレストエリアなど居住区は大きく改善され、長期航海もいまよりずっと負担が減りそうだ。
同艦は20年度就役予定。

F15の近代化 レーダー、電算機換装
試改修終え量産へ

F15要撃戦闘機の近代化改修は、空自の現有主力戦闘機を2010年代以降も有効に活用するのが目的で、平成16年度にまず4機(1個編隊)について着手する。総額181億円。同9年度から実施してきた試改修(1機)に基づく最初の量産改修事業となる。
  主要な改修は、電子戦環境下でのミサイル戦で優勢を確保するために、レーダーとセントラルコンピューターを換装する。
  レーダーは現有のAPG63からAPG63(V)1に変えて探知能力を延伸、電波妨害への対処能力も向上させ、コンピューターはレーダーの換装などに対応して演算性能、記憶容量をアップさせる。これら電子機器の換装に伴って、発電機は電力量、冷却システムは冷却能力をそれぞれ向上させたものに変える。
  また、将来、早期警戒管制機からの戦術データ変換システム端末を搭載するための空間と配線を確保する改修も併せて行う。



 
このほか、試改修事業とは別に進めてきた99式空対空誘導弾(AAM4)の搭載装置と脱出装置の改修、飛行記録装置の搭載、通信装置への電波妨害対処機能付加などの近代化も量産改修と同時に行う。
  中期防(平成13〜17年度)期間中、計12機の近代化改修が計画されている。
  一方、近代化試改修機はさる7月18日、改修を担当している三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所で初の社内飛行試験を行ったあと、完成審査に相当する技術確認試験審査を経て、10月中には三菱重工業から空自に引き渡され、飛行開発実験団で技術追認としてシステムの機能・性能を確認のための飛行試験を実施する予定。

GPS電波で自ら方向を修正し命中

16年度概算要求に計上された空自支援戦闘機搭載用の「爆弾用精密誘導装置」は、通常爆弾にキットを装着して誘導爆弾に変えるもので、米国で開発され、「JDAM(Joint Direct Attack Munition)と呼ばれている。
  レーザー誘導方式の高価な誘導爆弾は、僚機が目標にレーザーを照射し続け、最後まで爆弾を誘導しなければならないのに対し、JDAMは目標の座標さえ入力しておけばGPSを利用して爆弾自らが目標に向かい、命中する。
 

 

このため戦闘機は、敵の対空火器が届かない高空から爆弾を投下するだけで正確に敵を撃破できる。キット装着法も簡単で、爆弾の前・尾部に翼作動システムの付いたJDAMを装着するだけだ。
  本体内部にはマイコン、GPS受信器、パワーモジュール、慣性誘導装置などの入った「ガイダンス・コントロール・ユニット(GCU)」が組み込まれている。爆弾は投下されるとGPS電波を受けながら翼を動かして落下方向を修正し、指定された座標に向け落下する。
  米軍によると、高度1万メートルから投下して、命中精度(半数必中界)は13メートル以内という。このため、建物など固定目標を撃破するには非常に有効な武器となっている。
 さらにJDAMは完全な撃ち放し式のため、パイロットに高度な技量が必要ないのも同システムの利点となっている。

 

 

 

 
 
 9月11日付  

 

朝鮮半島非核化で一致
艦艇相互訪問を早期実現
日中防衛首脳会談 次官級協議も実施へ

石破防衛庁長官は日中防衛首脳会談のため9月1日から同4日まで中国を訪問、3日に北京で曹剛川国防相と会談し、朝鮮半島の非核化で意見が一致したのをはじめ、懸案だった海自と中国艦艇の相互訪問の早期実現で合意、両国の防衛交流促進と信頼関係の構築などで一致した。日中防衛首脳会談は平成10年の久間章生長官(当時)の訪中以来で5年ぶり。会談後、記者会見した石破長官は「幅広い分野にわたり率直な意見交換を行うことができた。日中防衛当局間の関係がこの会談を機に進展することを期待している」と述べた。

信頼関係の構築めざす

会談は午前9時15分すぎから約2時間半にわたって行われた。
 
席上、石破長官は日中次官級協議や陸海空幕僚長レベルの交流、艦艇の相互訪問の実現について中国側の考えを質したのに続き、朝鮮半島情勢など地域情勢に対する認識、弾道ミサイル防衛の考え方、有事法制整備、イラク復興支援特措法など、わが国の防衛政策について説明した。
 
とくに朝鮮半島情勢について長官は「北朝鮮における核、ミサイル開発、配備、拡散の問題は北東アジア、国際社会にとって安全保障上の重大な問題と認識している。今後も平和的・外交的解決を目指して努力しなければならないが、北朝鮮による不測の事態があってはならない」と述べた。
 
これに対し曹国防相は「中国は朝鮮半島の核保有化には絶対反対の立場であり、問題解決に向け対話を通じて平和的に解決していきたい」と述べ、北朝鮮の核開発阻止で双方の意見が一致した。
 
次いで石破長官はわが国の弾道ミサイル防衛の考え方について、「近年、弾道ミサイルの移転・拡散が進み、わが国も北朝鮮のミサイルの射程に入る可能性がある」とした上で、「弾道ミサイル防衛システムはわが国国民の生命・財産を守る純粋に防御的なもので、他に代替手段のない唯一のもの」と述べて理解を求めた。
 
曹国防相は「ミサイル防衛は世界の戦略バランスを崩し新たな軍備競争を引き起こす恐れがある、といった考え方がある」とし、「問題解決に向けて相互の信頼が重要」と述べた。
 
日中の防衛交流では、石破長官が曹国防相の来日を招請するとともに、次官級協議の実施を提案。また「昨年5月に予定されていた中国海軍艦艇の訪日が延期されている。艦艇の相互訪問は日中防衛交流の新たな段階への移行を象徴するもので、その意義は大きい。ぜひ実現させたい」と述べた。
 
これに対し曹国防相は「できるだけ早く派遣したいと考えている。海上自衛隊の艦艇も中国に派遣してほしい」と応じた。次官級協議についても「両国の理解を深める重要な協議」として、前回(平成12年)は東京で開かれていることから、次回、北京での開催を検討する意向を示した。
 
会談後、記者会見した石破長官は「5年ぶりの日中防衛首脳会談だったが、この5年間で両国を取り巻く安全保障環境は大きく変化した。曹国防相との意見交換を通じ信頼関係の端緒を築くことができ極めて有意義だった」と述べた。
 
石破長官は北京滞在中、唐家セン国務委員、温家宝首相を表敬したほか、2日に上海で人民解放軍の東海艦隊、4日に北京近郊の陸軍装甲第6師団、空軍第24師団をそれぞれ視察した。


 
 
 9月11日付  

 

弾道ミサイル防衛 新規事業を事前評価
代替手段なく有効

防衛庁は8月29日、平成16年度防衛費概算要求関連政策の新規19事業についての「事前評価」と、継続中の2事業についての「中間評価」を発表した。昨年は概算要求提出(8月末)から約1週間後だったが、今回は政策評価の趣旨に基づき、概算要求と同時に提出した。
 
主要な事業の事前評価は、弾道ミサイル防衛(BMD)システムについて、「わが国が直面する弾道ミサイルの脅威に対する現時点で代替性のない有効な防衛手段で、国防上必要なもの」、海自護衛艦(1万3500トン型DDH)は「護衛隊群の旗艦や対潜中枢艦として周辺海域の防衛能力と海上交通の安全確保能力の維持向上に役立ち、また、大規模災害派遣など多様な事態にも的確、柔軟に対処し得る」、3自衛隊共通の統合無線機研究は「ソフトウエアの入れ替えにより各自衛隊の各種無線機との通信を可能にする研究で、統合運用と各自衛隊の情報伝達機能の充実・強化に役立つ」と評価している。
 
政策評価は、中央省庁等改革に伴い13年度から導入された「行政が自ら政策の効果を評価する」制度で、公表に合わせて防衛庁はホームページに各事業の評価結果をはじめ、事業内容、経費、目的、必要性、効果などの資料や図表を掲載している。
 
今年の政策評価作業は概算要求提出事業に絞り、それぞれの政策所管課で7月15日までに政策評価書(1次評価)を作成、次いで政策評価担当課(施設庁は行政評価官)が評価書に意見を付し(2次評価)、8月20日に政策評価委員会(長は事務次官が指名する参事官)に提出された。
 
同委員会の審議後、石破長官が8月20日に決裁。今年の作業は総務省の「政策評価の結果を適切に反映させるため、評価書の早期作成・公表を」との通達に沿って進められ、同29日の庁議でも概算要求に先立ち評価書を審議・承認、概算要求とともに公表された。
 
16年度概算要求の新規19事業と継続2事業は次の通り。
 
▽事前評価事業=(1)弾道ミサイル防衛(BMD)システム(2)護衛艦(1万3500トン型DDH)(3)潜水艦(2900トン型SS)(4)掃海艇(570トン型MSC)(5)要撃戦闘機(F15)近代化改修(6)中距離多目的誘導弾(7)対空戦闘指揮統制システム(8)無人機研究システム(9)次期機上電波測定装置(10)アクティブ・電波・ホーミング・ミサイル搭載に関する研究(11)生物兵器対処技術の研究(12)艦艇残存性向上の研究(13)ソーナーコンセプト評価技術の研究(14)魚雷用動力装置の研究(15)統合無線機の研究(16)キャンプ瑞慶覧の一部返還に伴う工作物等(運動施設)移設工事(17)入間基地周辺障害防止対策事業(鵜ノ木排水路)(18)提供施設の整備(三沢飛行場における管理棟=施設=整備事業)(19)提供施設の整備(キャンプ瑞慶覧における倉庫=一般=整備事業)
 
▽中間段階評価事業=(1)舞鶴(北吸・大波)桟橋等の整備事業(2)三沢飛行場周辺民生安定助成事業(水道)

 

 
 
 9月11日付  

 

10カ国13寄港地を訪問
遠航部隊が帰国

海自の平成15年度遠洋練習航海部隊(杉本正彦司令官以下実習幹部約180人を含む約800人、練習艦「かしま」、護衛艦「さわぎり」「はまゆき」で編成)が9月8日、10カ国13寄港地を巡る航海を終えて東京・晴海に帰国した。帰国行事が晴海ふ頭K岸壁で行われ、赤城副長官、守屋事務次官、古庄海幕長らが3艦を出迎えた。(関連記事は3面)
部隊は7日に横須賀港外で通関、検疫などの入国手続きを終え、8日午前9時すぎ、「かしま」「さわぎり」「はまゆき」の順にレインボーブリッジをくぐり、出迎えの家族ら約300人が見守る中、同30分「かしま」が岸壁に横付け。後方に「さわぎり」「はまゆき」が接岸した。
同10時半から帰国行事が行われ、杉本司令官の帰国報告のあと、赤城副長官が訓示。「今回の航海を通じ、初級幹部として必要な知識と技能を体得するとともに、国情を異にする各国の国防体制や文化等に接して国際的視野と高い識見を培ってきたものと思う。これからそれぞれの任地で、幹部自衛官としての誇りと自覚を持ち、不断の努力を積み重ねてほしい」と要望した。
続いて古庄海幕長が「諸君は海の持つ魅力や厳しさを身をもって感じ取るとともに、その厳しさに真正面から敢然と立ち向かう気概と、千変万化する海洋環境に応じうる柔軟性を十分に培ったものと思う。これからはスマートさとユーモアを併せ持つ幹部を目指してほしい。部隊は諸君の着任を待っている」と述べた。
このあと宮崎孝治東京港管理事務所長、、佐久間一水交会副会長、深山明敏東京都隊友会長、手塚正水東郷会理事長、冨沢暉父兄会副会長が杉本司令官、各艦長、実習幹部代表に花束を贈った。
今年度の遠航部隊は4月24日に晴海を出発。東南アジア・オセアニア方面を中心に10カ国13寄港地を訪問した。インドネシアのメナドに初めて寄港し、日本人慰霊碑に献花したほか、6月にタイ海軍主催で行われた西太平洋海軍シンポジウム(WPNS2003)参加の11カ国18人の外国海軍士官が、ポートモレスビー(パプアニューギニア)−ジャカルタ(インドネシア)、ジャカルタ−バンコク(タイ)、バンコク−シンガポールの3区間で乗艦実習を行った。


 
 
 9月11日付  

 

空幕長が訪米ワシントンで世界空軍参謀総長等会同 

津曲空幕長は9月14日から同20日まで、米ワシントンDCで開かれる米空軍主催の世界空軍参謀総長等会同(GACC)に出席するため、12日に民航機で成田空港を出発する。GACCに先立ち13日には太平洋地域空軍参謀総長等会同(PACC)にも参加し、国際軍事情勢などについて意見交換する。
 
GACCには世界約120カ国以上が米空軍参謀総長のジョン・P・ジャンパー空軍大将の招待を受けており、DC地区内のホテルをメーン会場に、「21世紀における航空宇宙戦力・世界の問題と挑戦」のテーマで発表や意見交換を行う。
 
津曲空幕長は会同終了後、21、22の両日、ハワイの米太平洋軍(PACOM)と米太平洋空軍(PACAF)を訪問、24日帰国の予定。
 
GACCは米空軍50周年を記念して平成9年に初めて開催され、今回が2回目。PACCは平成元年から米国と参加国の持ち回り共催で隔年開催されており、今回で9回目。

 

 
 
 9月11日付  

 

「変革期の貢献に期待」陸幕長
曹友会連合会 発足15周年祝う

陸自曹友連合会(会長・村上健治曹長、会員数8万9000人)の発足15周年記念祝賀会が9月8日、東京・新宿のグランドヒル市ヶ谷で開かれた。
 
同会は昭和63年6月、陸曹の地位・役割向上、陸自への貢献、地域への寄与などを目的に、曹友刊行会として会員数7万4000人でスタート。月刊の機関誌「SO YOU」などを通じて全国駐屯地に勤務する陸曹の交流を推進。
 
この間、歴代陸幕長をはじめ同会名誉会長の陸幕副長らの支援も受けながら、全国の駐屯地・方面の曹友会長が一堂に会する陸曹等集合訓練の開催、会員のネットワーク化、在日米陸軍・海空自曹長会との連携など多様な事業を進めてきた。
 
この日は全国の曹友会長ら約200人が出席して集合訓練が行われた後、志方俊之帝京大学教授(元北方総監)らが講演。午後6時45分から林陸幕副長ら来賓約70人を迎えて祝賀会が開かれた。
 
村上連合会長が「5年、10年後の後輩のために、全国の曹友会が団結して陸曹の地位向上に努力していきたい」とあいさつ、続いて林副長が「陸自はいま新たな環境下で変革が求められている。組織の骨幹である陸曹諸官の貢献に期待する」と、先崎陸幕長の祝辞を代読。乾杯の後、ケーキカットやゲストの吉永光里さんによる歌唱などが行われた。

 
 
 9月11日付  

 

空幕、20キロを徒歩通勤
交通機関マヒ想定
今年も緊急登庁訓練

空幕は9月1日の「防災の日」にちなみ、市ヶ谷地区に勤務する約700人の航空自衛官等を対象に、8月30日から9月5日まで「緊急登庁訓練」を実施した。
 
これは南関東地域で震度6級の直下型大地震が発生し、主要交通機関がマヒして自力で登庁しなければならなくなった場合に備え、隊員が官舎や自宅から約20キロを徒歩や自転車を使い登庁するというもので、空幕では毎年実施している。
 
訓練では、都内と神奈川、千葉、埼玉の各県に住む隊員を対象に、防衛庁から半径20キロ以内の居住者は直接自宅や官舎から、遠方の隊員は半径20キロ地点までを公共交通機関で移動した後、徒歩などで登庁した。
 
徒歩による出勤は業務に支障が出ないよう、8月30、31日の土日に実施した隊員が多く、それぞれ東京の日野、神奈川の日吉、千葉の市川、埼玉の入間官舎などから出発し、徒歩で約5時間かけて防衛庁に到着。一方、業務のある平日に緊急登庁した隊員はいずれも朝4時ごろに起床し、ランニングや自転車で2時間程度をかけて登庁した。
 
空幕によると、防災意識の高揚と災害時の登庁経路の確認を目的とした同訓練は今年で3回目。

 

 

 

 
 
 9月4日付  

 

16年度防衛費 概算要求 4兆9600億円に
弾道ミサイル 迎撃システムを整備
海上(SM3)地上(PAC3)の両型
イージス艦の改修など 現有の装備を活用

防衛庁は8月29日の庁議で、平成16年度予算概算要求と業務計画案を決め、同日、財務省に提出した。防衛関係費の概算要求額は対前年度比0・7%増の4兆9600億円。16年度は大量破壊兵器の拡散状況を踏まえ、弾道ミサイル防衛(BMD)に関する施策として海上・地上配備型両迎撃システムの整備に着手するほか、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)の更新・近代化として海自で初めて、基準排水量1万3500トンの全通甲板型DDH建造が計上されるなど、懸案の大型事業が盛り込まれた。また、従来から進めているゲリラ・特殊部隊、不審船、核・生物・化学兵器への対応能力の充実・強化として新たに生物偵察車や化学検知器の整備なども盛り込まれた。このほか統合運用態勢への円滑な移行のための施策や、安全保障対話・防衛交流の推進、ITを活用した情報通信機能の強化・情報セキュリティーの確保など、各種施策の推進が図られている。

(16年度業計の基本方針)
(業務計画の主な内容)

ゲリ・コマ対処装備も重点
業務計画

16年度業計案は大量破壊兵器等の拡散、テロ等の非対称的脅威の顕在化など新たな安全保障環境の下で、「国民の安心・安全を確保するとともに、国際的な安全保障環境の一層の安定化に努める」ことを基本方針として7つの重点項目を挙げている。
 (1)弾道ミサイルに関する諸施策の推進。
 (2)ゲリラ・特殊部隊、不審船、核・生物・化学兵器、サイバー攻撃への対応能力の充実・強化。各種災害に適切に対処しうる態勢の保持。
 (3)平成17年度に新たな統合運用態勢に円滑に移行しうるよう必要な施策の推進。
 (4)国連平和維持活動をはじめ各種国際活動のほか、多国間共同訓練、安全保障対話・防衛交流の積極的推進。
 (5)軍事科学技術の動向を踏まえた、先進的な技術研究開発の推進。
 (6)情報収集・分析・保全体制等の整備、ITを活用した情報通信機能の強化や情報セキュリティーの確保等。
 (7)基地周辺環境整備事業の充実。
このうち弾道ミサイル防衛は、わが国に向けて発射された弾道ミサイルを海自イージス艦搭載のSM3ミサイルで大気圏外で迎撃する海上配備型上層ウエポンシステムと、撃ちもらした弾道ミサイルを空自高射部隊のペトリオットPAC3で大気圏再突入時に迎撃する地上配備型下層ウエポンシステムとの組み合わせで運用する。
これらの整備に当たってはイージス艦、ペトリオット、バッジシステムなど現有装備を最大限活用して効率的に進める方針で、海上配備型ミサイルを搭載するため護衛艦「こんごう」を改修し、SM3ミサイルを取得するほか、既存のペトリオットシステムを改修(1高群)、PAC3ミサイルを取得する。また、警戒管制部隊の地上配備型レーダーFPS3改の改修、新FPSの開発などバッジシステムへの弾道ミサイル対処機能の付加  などを行う。さらに、BMD諸施策推進のため内局防衛政策課に弾道ミサイル防衛室(仮称)を新設する。
基本方針のうちゲリラや特殊部隊の侵入対処では、沿岸部などでの警戒監視・情報収集の向上に移動監視レーダーを整備するほか、装輪装甲車、軽装甲機動車、暗視装置、施設器材などを重点的に整備。市街地戦闘派米訓練成果の各部隊への普及、警察との連携強化などを図る。不審船への対応では、P3C哨戒機に衛星通信装置を搭載するほか、特別警備隊の即応体制の維持・強化、海保庁との共同訓練などを行う。
核・生物・化学兵器攻撃への対応では陸自化学防護隊に生物偵察車(仮称)や生物剤警報器を新たに導入するほか、生物剤検知・同定技術の研究、化学剤監視装置(試験用器材)の取得を図る。
各種災害への対応では空自の医学実験隊に機動衛生研究班を新設し、輸送機やヘリの機上で応急処置を施しながら重症患者を高度医療施設に広域搬送する態勢の早期整備を目指す。
統合運用態勢の充実では、統幕校の研究員増員、統合無線機の研究など。また、軍事科学技術の進展への対応では、無人機研究システムや次期機上電波測定装置、対空戦闘指揮統制システム、中距離多目的誘導弾の開発など6項目を新規事業として盛り込んだほか、研究開発体制の強化で技本に5人目の技術開発官・統合先進技術担当(仮称)を新設する。
情報機能の強化では衛星画像の解析技術の高度化を図るため情報本部画像・地理部に研究担当部門を新設するのをはじめ、防衛情報通信基盤(DII)のクローズ系の構築に着手するほか、新たに師団等指揮システムなどの整備、陸自システム防護隊(仮称)の新編、中央指揮所システム保全班クルー要員の増員、システム監視分析装置の整備などがある。

ヘリ4機同時運用
初の全通甲板護衛艦も

一方、内局、各自衛隊の部隊等改編では、防衛局防衛政策課の弾道ミサイル防衛室をはじめ、運用局運用企画課に緊急事態対処企画室を新設。陸自は8師団の近代化で9600人から8800人規模に改編。軽装甲機動車、01式軽対戦車誘導弾、近SAMの導入による機動力、火力の向上を図るほか、戦車大隊の4個中隊化、24普連などの即応予備自導入、8後支連の改編を行う。西方に方面情報処理隊(健軍、約30人)、方面通信情報隊(同、約70人、いずれも仮称)を新編、システム防護隊(同)を改編(市ヶ谷、約60人)する。
海幕は人計課に人事計画調整官を新設、1輸送隊隷下にエアクッション艇隊を新編。江田島病院を廃止し、呉病院を新設、横須賀病院に教育主任教官を新設。空自は支援集団に副司令官を設けるほか、名古屋空港移転に伴い小牧管制隊を新編(約80人)する。
正面装備では、陸自が99式自走155ミリ榴弾砲、多連装ロケットシステムMLRS、90式戦車、AH64D対戦車ヘリ、改良ホーク後継の03式中SAMなどをそれぞれ整備する。
海自は、ヘリ搭載護衛艦「はるな」の20年度除籍予定に伴い、情報・指揮通信とヘリ運用能力を重視した1万3500トンの新型全通甲板DDHを整備。全長195メートルで艦橋が右舷側にまとめられ、艦上では哨戒ヘリ4機を同時に運用できる。艦内には機体整備区画があり、最大でヘリ11機を搭載できる。乗員は司令部を含め約350人。
このほかスターリング・エンジン搭載の水中持続力等を向上させた2900トン型潜水艦、高性能機雷対処能力を向上させた570トン型掃海艇(MSC)、MH53E掃海ヘリ後継のMCH101新掃海・輸送ヘリ1機の初調達などがある。
空自はF15戦闘機4機の近代化・改善をはじめ、F2支援戦闘機5機、B767空中給油・輸送機1機、T7練習機11機などと、通常爆弾用のGPSを利用した精密誘導装置の導入などが盛り込まれた。

概算要求
歳出は0.7%増に

16年度概算要求の歳出3分類は、人権・糧食費が2兆2078億円(前年度比110億円、0・5%減)、歳出化経費が1兆7409億円(同430億円、2・4%減)、一般物件費が1兆113億円(同875億円、9・5%増)の計4兆9600億円(同336億円、0・7%増)。
一般物件費の内訳は油購入費、修理費、教育訓練費、医療費などの維持費等が3880億円(同189億円増)、周辺環境整備、在日米軍駐留経費など基地対策経費等が4311億円(53億円増)、研究開発費が375億円(同139億円)、装備品購入費等が650億円(同431億円増)、施設整備費が136億円(33億円増)、その他761億円(同30億円増)。このほかSACO関係経費は前年度と同額の265億円。
一方、後年度負担は既定分が1兆1903億円(同99億円、0・8%増)、新規分が1兆9064億円(同1447億円、8・2%増)で、正面8660億円(同1137億円、15・1%増)、後方1兆404億円(同310億円、3・1%増)となっている。BMD関係経費は契約額1423億円のうち一般物件費が160億円、新規後年度負担が1263億円(正面1122億円、後方141億円)。

施設庁予算は5623億円

防衛施設庁の16年度概算要求は総額5623億円(前年度比80億円、1・4%増)で、内訳は基地周辺対策経費が1452億円(同40億円、2・8%増)、在日米軍駐留経費負担が2499億円(同39億円、1・6%増)、施設の借料・補償経費等が1288億円(同4億円、0・3%減)、人件費等が384億円(同5億円、1・4%増)。
基地周辺対策費のうち周辺環境整備は、前年度比40億円(4・3%)増の955億円で、主要な施策は関係自治体のまちづくり事業など。住宅防音は498億円(前年度同規模)で、太陽光発電システム、外郭防音工事の促進などの助成を予定。
在日米軍駐留経費のうち特別協定分(13〜17年度)は、労務費、光熱水料等、訓練移転費で1420億円(同4億円、0・2%増)、提供施設の整備が780億円(同30億円、4%増)で、米軍隊舎等の整備のほか、岩国飛行場滑走路の移設事業、基地従業員対策等が社会保険料事業主負担分等の299億円(同6億円、2%増)。

石破長官 ミサイル防衛の意義を強調
16年度概算要求を庁議決定した後、記者会見した石破長官は「ミサイル防衛システムを導入するための関連経費を盛り込んだ16年度概算要求を提出した。純粋に防御的な、他に代替手段のない唯一の手段として弾道ミサイル防衛システムを導入することは、わが国が弾道ミサイル攻撃に対する防衛能力、新たな抑止能力を獲得するものであり、防衛政策上きわめて重要な意義を有するものだ。今後、安全保障会議での検討を経て判断されるが、当庁としてはご理解をうるべく十分説明していきたい」と述べた。
施設の借料、補償等は施設用地等の借り上げ、漁業補償等となっている。


 
 
 9月4日付  

 

中国河北省の遺棄化学兵器
陸自8人を派遣
発掘・識別作業など指導

旧日本軍遺棄化学兵器の発掘・回収事業で、中国河北省石家庄市に派遣される陸上自衛官が9月2日、防衛庁で赤城副長官に出発のあいさつを行った。副長官は「危険が伴う作業だが気をつけてがんばってください」と激励した。
同事業は化学兵器禁止条約に基づき、日中両国が平成12年から実施しているもので、日本側からは内閣府を主管に外務省、防衛庁、日本国際問題研究所軍縮不拡散促進センター、民間専門家ら40人前後が毎回派遣されている。
今回、防衛庁から派遣されるのは内閣府遺棄化学兵器処理担当室に出向中の金子寿弥、秋山将之両3佐と、福島恵3佐(4化防隊)、岩上信男(10特連)、中村和弘(北処)両1尉、名取賢児(1化防隊)、内田輝彦(101不発弾処理隊)両1曹、雜賀誠2曹(3師団付隊)の計8人。
一行は9月3日に成田を出発、同6日から19日まで河北省石家庄市で行われる遺棄化学兵器の発掘・回収作業に加わり、同16日に帰国の予定。
中国側の情報によると、同所にはホスゲン剤が充填されているとみられる砲弾52発が埋まっているとされ、これらを発掘し、外観鑑定、X線鑑定の後、簡易梱包して保管する。同作業には中国側から約100人、日本側から約45人が従事。派遣隊員は作業が安全、効率的に運ぶよう砲弾の識別、汚染の有無の確認、作業員の安全管理などの指導を行う。
防衛庁はこれまで、平成12年9月に黒龍江省北安市に自衛官10人、同14年9月に同省孫呉県に同8人を派遣、発掘・回収作業を指導している。
中国には旧日本軍が遺棄したと見られる化学砲弾などが約70万発あるとされ、2007年までに処理を完了することになっている。


 
 
 9月4日付  

 

護衛艦「さざなみ」が進水
 

海自の平成12年度計画護衛艦の命名・進水式が8月29日、三菱重工業長崎造船所で行われ、守屋防衛事務次官が「さざなみ」と命名、支綱を切断し、進水した=写真。


 
「さざなみ」は「たかなみ」型の4番艦で、16年度に除籍される「あきぐも」の代替。「たかなみ」型は「むらさめ」型護衛艦の改良型で、船体の形状、寸法は同じだが、「むらさめ」型の76ミリ砲に代わり127ミリ砲が装備されているほか、短SAM・アスロック兼用の垂直発射装置(VLS/VLA)を前部に集中配置している。
 
「たかなみ」と2番艦「おおなみ」は今年3月13日付で1護群5護隊(横須賀)に配備されている。
 
「さざなみ」は平成17年3月に就役の予定。また、3番艦「まきなみ」は16年3月就役の予定。
 ◇「さざなみ」主要目 ▽基準排水量4600トン▽全長151メートル▽全幅17・4メートル▽ガスタービン4基2軸▽最大速力約30ノット▽主要装備=54口径127ミリ短装速射砲1基、短SAM・アスロック兼用垂直発射装置1式、20ミリ高性能機関砲CIWS2基、SSM1B発射装置1式、3連装短魚雷発射管2基▽乗員約170人。

 

 
 
 9月4日付  

 

北の核不拡散で一致
石破長官 NZ国防相と会談

石破防衛庁長官とニュージーランドのマーク・バートン国防相との日・NZ防衛首脳会談が8月26日、防衛庁で行われ、両国の防衛政策をはじめ北東アジアの安全保障問題や海洋の安定化問題などについて約2時間にわたって意見を交換した。
北東アジアの地域情勢で石破長官は、北朝鮮の核問題についての6カ国協議を前提に、「いかに平和的に解決するかが課題だ。日本は中国とも北朝鮮のミサイル、核開発の放棄を求めることで共通している」と述べ、北朝鮮と国交があるNZの見解を求めた。
これに対しバートン国防相は「北朝鮮問題はNZも重く見ている。多国間で解決していく問題として外交努力をしていきたい。核不拡散問題は、わが国も同じ考えだ」と述べた。
イラク問題について同国防相は「復興支援で施設部隊を送る予定だが、有益な活動ができるかどうかが(派遣の)判断材料になる」との認識を示した。また、対テロ軍事行動で海自から燃料補給を受けていることに謝意を表した。
会談後、防衛庁で石破長官主催の夕食会が開かれた。バートン国防相は平成13年11月に中谷長官(当時)と防衛首脳会談を行っており、今回が2度目の首脳会談。
同国防相は29日に空自百里基地を視察した。

 

 

 

 
 
 8月28日付 防衛技術

 

技本開発中の次期輸送機(CX)
試作機にGE社製エンジン搭載
翼など同じパーツ使い設計
次期哨戒機(PX)と共用化図り開発

技本が開発中の次期輸送機(CX)試作機の搭載エンジンに、米ゼネラル・エレクトリック(GE)社製「CF6−80C2」が正式決定した。これによりCXの細部設計は今後加速し、いよいよ試作機の製造も開始される。CXは国産エンジンを搭載する次期固定翼哨戒機(PX)と同時に開発が進められている点や、ITを利用した最新のモデリング・アンド・シミュレーション(M&S)、スパイラル開発手法など最新のテクノロジーが導入されていることも注目点だ。両機種の開発の現況をまとめた。


コスト削減のため、共用化を図りながら技本が開発中の次期輸送機(CX)(右)と
次期固定翼哨戒機(PX)の完成予想図

久々の国産大型機の開発として注目される次期輸送機と次期哨戒機の同時開発。両機のエンジンは、CXには既存の大型エンジンを2発、PXには国産の新型エンジン4発が搭載される計画となっている。
このうちCX試作機については8月8日、防衛庁装備審査会議を経て米GE社製の「CF6−80C2」エンジンが搭載されることが正式に決定した。これによりCXの翼部など細部設計は今後、加速度を増す。GE製の同エンジンは、空自が運用する政府専用機、E767早期警戒管制機に搭載されているほか、導入が決定しているKC767型空中給油・輸送機にも搭載され、整備やコストの面で他の候補エンジンに比べ優位だった。


CX試作機への搭載が決まったGE社製「CF6-80C2」エンジン(GE社HPより)

CX、PX両機種の開発は、設計(13〜16年度)、試作(15〜21年度)、試験(18〜23年度)となっており、開発完了は23年度、総経費は約3400億円とされている。この計画で注目されるのは、設計・試作・試験期間がそれそれ重複していること。これはコンピューターによる3次元電子化設計が本格的に導入されていることによる。
この方法はM&Sと呼ばれ、技本とメーカーがコンピューターの中でデータベースを共有し、互いの意見を取り入れながら開発を進めていく手法。各開発部署で設計された航空機パーツはPC上で組み立てられ、実際に模擬飛行させて不具合が出ないか評価が行われる。その過程で不具合が起きれば、設計段階に戻って手直しが行われる。
このようにM&SではPC上で設計・試作・試験の過程を螺旋階段(スパイラル)を上るように同時に進めていくことができるため、整備・補給・要員教育といったコストの見積もりもでき、費用・リスクの低減が可能。また、完成モデルをイメージしながら設計できるため、開発途中でユーザー(パイロットら)の意見や新規技術を採用することが可能で、完成時には最新の技術・装備を機体に搭載できるメリットもある。
CX、PX両機種の開発・製造は、すでに主契約会社に川崎重工業が決まり、現在、500人以上の関係企業技術者が両機種の設計作業に従事している。
両機の開発に当たっては、量産単価をはじめ整備・補給費用などライフサイクルコストを抑制する狙いから、2機種の主翼と水平尾翼の外翼部、コクピット風防などが共用化されることとなっている。このため、技術者たちは輸送機と哨戒機というまったく形の異なった機体を同じパーツを使って設計するという、かつてない難しい課題に挑戦している。
CXは、重要な開発ファクターであるエンジンの型式が決まったことで、今後、開発に弾みがつく。一方、PXの開発では、早期の搭載エンジンの決定が待たれている。

 

 
 
 8月28日付 防衛技術

防衛トピックス

海 外 
独軍に装甲救急車
ドイツ陸軍は緊急対応部隊向けに2種類の装甲救急車の調達を進めている。銃火の飛び交う前線から負傷兵を確実に後送するため装備するもので、ドイツ製の小型装軌車「ウィーゼル2」=写真=とスウェーデン製の同「Bv206S」を計400両以上、各部隊に装備する計画。両車両は森林内の草地や砂漠など荒地でも走行できるのが特徴。車内はエアコン完備で、担架に寝かせた傷者なら2〜3人、座席に座れる者なら6人程度を一度に治療しながら後送できる。


PAC3能力向上へ

米軍は弾道弾ミサイルの迎撃率を向上させるため、新型の対空ミサイル、ペトリオットPAC3の能力強化を進めている。改良を受注したのはロッキード・マーチン社で、51週間かけミサイル本体とソフトウエアの改善を行い、弾道弾ミサイルの命中精度を向上させる計画。改良型PAC3の実射テストは2006年9月から開始される予定。

国 内 
FC潜航試験に成功

海洋科学技術センターは8月20日、燃料電池(FC)エンジンを搭載した深海巡航探査機(長距離水中航走ロボット)「うらしま」が駿河湾での潜航試験に成功した、と発表した。氷海や海底火山の調査などに運用される「うらしま」は、これまでリチウムイオン電池エンジンを載せ130キロに及ぶ自律航行に成功、今回は航続距離を延伸するため新たに開発したFCに換装した。FCは固体高分子電解質膜型で出力は4キロワット(120ボルト)。今秋から長距離航行試験に臨み、来年度には300キロの自律航行を目指す。

 
 
 8月28日付 防衛技術

<世界の新兵器>
沿岸戦闘艦(米)
ステルス性持つ軽快艦


冷戦構造が終わりを告げ、21世紀の海軍作戦の舞台は沿岸に移った。冷戦時代に活躍した戦闘艦の老朽更新にともなって、米海軍では新型艦の様変わりが著しい。すでに昨年8月29日付本紙には新型駆逐艦DD(X)について紹介したが、これよりもかなり小型の次世代フリゲート艦の設計コンテストが熱気を帯びてきた。
この艦種はLCS(沿岸戦闘艦)と呼ばれ、現用のFFG7「オリバー・ハザード・ペリー」級の後継艦であるが、要求性能は全く異なり、上陸部隊支援、機雷掃討、情報収集、その他沿岸防備などの任務を達成する。
要求性能としては、排水量約2500トン、最大速力50ノット、航続距離5000マイル、良好な操縦性能と低速での安定性、良好なステルスおよびシグネーチャー管理能力をもち、有人ないし無人航空機と無人水上/水中航走艇を搭載し、船価は2億2000万ないし4億ドル(264〜480億円)とされている。
65隻を建造する予定で、すでに後述する6グループの企業群は提案書を米海軍に提出している。
LCSはかなり以前から米海軍部内で必要性が認識され、当時は"ストリート・ファイター"という仮称で研究されていた。ネットワーク中心戦の一翼を担い、高速かつステルス性をもつ軽快艦であり、DD(X)とともに2005会計年度から予算化される。その数年あとには将来型巡洋艦CG(X)が計画され、これで次世代型戦闘艦系列が完結する構想である。
提案されたLCSの設計について要点を紹介しよう。ゼネラルダイナミックス案は、英海軍のトリマラン(3胴船)の原型に改良を加えた構造で、この船形特有の排水量に対して比較的大きなペイロードが売物である。巡航速力は50ノット以上である。ギブス&コックス案は米海軍に提出されたが、同社の方針で一般に公表されていない。
J・J・マクミラン案は、ノルウェー海軍の「スクジョルド」表面効果艇を基本にした設計で、浅海面環境での性能発揮に優れている。
ロッキード・マーチン海軍電子・捜索システム海事システム案は、シースライス(橇状の舳先からポリマーと気泡を放出して航走抵抗を減少)の採用を考慮し、新方式のシーブレード構造としてアルミのモノハル船体で高速時には半滑走する。
ノースロップ・グラマン艦船システム案は、コックムス社が建造してスウェーデン海軍に納入した「ビズビー」級コルベットを原型にしている。この艦は船体や上部構造に複合材料を使用して、大きな強度とステルス性能を実現している。テキストロンシステム案は、表面効果艇と同様の船体構造を採用している。

 小滝 國雄(財)防衛技術協会・客員研究員