東北方の須藤政策補佐官レポート 被災情報リアルに記述
"つぶやきメール"話題呼ぶ

被災現場の生情報を「つぶやきメール」で発信している須藤補佐官(左)と、現地調査に常に同行している法務官の近藤1佐(東北方総監部で)
未曾有の大災害となった東日本大震災発生から2カ月。自衛隊の救援活動はあらゆる分野にわたっているが、最前線で活動する自衛官を後方で支え、自治体の実情調査や調整業務などを担っている東北方面総監部政策補佐官の須藤彰事務官(37)の"つぶやきメール"が関係者の間で秘かな話題となっている。
「背広組でも何かできる」 心情交え切々と
須藤事務官は君塚栄治総監の命を受け、被災各自治体や救援活動に従事している部隊などを回って実情を把握、総監への報告や問題解決の助言を行う役回りだが、本省内局への事務連絡のメールに添え書きする現地情報が「実にリアルで状況が理解しやすい」と重宝がられているからだ。今では連絡先の内局運用支援課や事態対処課、果ては大臣秘書官まで生の現地情報が詰まったメールを心待ちにしているという。
正式な報告書と違い心情を交えた書きぶりが現地の状況をより理解しやすくしている。例えば震災5日目の3月16日に東松島市と石巻市を現地視察したときのことを次のように記述している。
「どこに道があったのか、家があったのか、まったく分かりません。瓦礫の山です。そこに道を通すべく(「啓開」といいます。)、瓦礫を片付けていきますが、その下にはたくさんの遺体があります。したがって、重機で無造作に片付けるのではなく、土器の発掘に近いイメージで薄皮をはがすように丁寧に瓦礫を片付けていきます。大変時間がかかります。」
「本日、ちょうど正午に野蒜に到着したところ、各部隊が昼食をとるなか、一つの部隊だけが、壊滅した家の中を一生懸命に探しておりました。側でご家族がそっと立っておられました。間もなく隊員がご遺体を見つけると、ご遺族は静かに手を合わせて、涙ながらにお礼を述べておられました」
遺体捜索についての記述ではこのほかにも生々しい表現もあるが、遺族の気持ちを気遣いながら活動する隊員の姿を伝えている。
また、隊員が身につけているヘッドライトやゴム手袋など個人装具が各自まちまちなことに気付いたくだりでは、「部隊に必要な数がないので、自分たちで買って使っている、『こんなの自衛隊では当たり前のことですよ』とのことでした。早速、装備部に改善するようお願いしました」と記した上で、「部隊のことを知らない自分に何ができるのだろうかと悩むこともありますが、逆に部隊を知らないために、自分にもできることがあるのではないかと少し手応えを感じることができました」と、いわゆる背広組キャリア隊員としての率直な感想も添えられている。
自治体との連絡調整では、発災から日が経ち避難所の管理運営について効率化する必要を指摘するものの、関係担当課それぞれが目前の仕事に追われている状態で改善がままならないことや、瓦礫除去に必要な重機さえも財政的な先行き不安から、十分に確保ができない自治体の苦悩する姿などが克明に記されている。
須藤事務官は「当初は情報が乏しく、現地の状況を中央でも正確に知ってもらいたい」との思いから添え書きを始めたと言い、添え書きとはいえ、1回のメールでA4にして4枚に上ることもある。現地踏査のたびに綴ったメールは4月中旬までに約20通、2万字にもなった。