12月の朝雲ニュース

12/23日付

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新大綱・中期防を閣議決定 「動的防衛力」を構築へ
柔軟な機動性重視 島嶼防衛など態勢整備

 政府は12月17日、安全保障会議と閣議を開き、平成23年度以降のわが国の安全保障政策の基本方針を示す新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」(23年度〜27年度)を決定した。新大綱はこれまでの「基盤的防衛力構想」を転換、即応性、機動性などを重視した「動的防衛力」の構築を掲げ、島嶼防衛の態勢整備などを盛り込んでいる。このため自衛隊は戦車や火砲を削減、部隊の地理的な配置を見直すとともに、南西地域を含め警戒監視、洋上哨戒、防空などの機能を重点的に整備する。さらに各自衛隊の横断的な機能を整理、共同部隊化、集約・拠点化により統合運用基盤を強化する。また、人的構成の見直しや人事制度改革、中長期的な防衛力の維持整備のための防衛生産・技術基盤に関する戦略策定などの方針を示している。一方、中期防は23年度以降5年間の経費として総額約23兆4900億円を見込んでおり、ほぼ前中期防の水準を維持している。

士→増、曹→減 人事も改革

 新大綱はわが国を取り巻く安全保障環境について、武力紛争に至らないような民族・宗教対立などグレーゾーンの紛争の増加や、新興国の台頭と米国の相対的な影響力の低下によるパワーバランスの変化が生じているとし、国際テロや海賊などに加え、サイバー空間をめぐる問題が国際社会の課題だと指摘。
 さらに北朝鮮の核・ミサイル開発・拡散、軍事的挑発行為などは地域の喫緊かつ重大な不安定要因とするとともに、中国に対しては軍事力の近代化や透明性の不足、海洋への進出など地域・国際社会の「懸念事項」であることを明記。また、ロシアの軍事活動の活発化傾向も挙げ、わが国を取り巻く安全保障環境は多様で複雑、重層化しているとの認識を示した。
 安全保障の基本方針では、情報収集・分析能力、情報保全体制の強化、迅速・的確な意思決定による政府一体としての対応、首相官邸に政策調整と首相への助言などを行う、いわゆる日本版NSC(国家安全保障会議)の設置、国際平和協力活動へのより効率的・効果的な取り組みのためのPKO参加5原則の見直しなどが盛り込まれた。
 さらに新大綱の中心的な戦略概念として「動的防衛力」の構築を掲げた。防衛力の存在自体による抑止効果を重視した従来の「基盤的防衛力」ではなく、各種事態に対し、実効的な抑止と対処を可能とし、安全保障環境の改善のための活動を能動的に行いうる態勢への転換で、「即応性、機動性、柔軟性、持続性および多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた技術力と情報能力に支えられた動的防衛力」を構築するとしている。
 このため、適切な規模の防衛力を着実に整備することや、財政事情を踏まえ自衛隊全体の装備・人員・編成・配置などの抜本的見直しによる思い切った効率化・合理化を断行。必要な機能に資源を選択的に集中して構造的な変革を図るほか、人事制度の抜本的な見直しにより、人件費の抑制・効率化と若年化による精強性の向上を目指す。
 防衛力の在り方では、島嶼部に対する攻撃への対応として、機動運用可能な部隊の迅速な展開や、島嶼周辺における防空態勢の確立、周辺海空域の航空優勢、海上輸送路の安全確保などを挙げている。
 自衛隊の体制は、冷戦型の装備・編成を縮減し、部隊の地理的配置や各自衛隊の運用を見直す。さらに南西地域も含め警戒監視、洋上哨戒、防空、BMD対処、輸送、指揮通信などの機能を重点的に整備するとともに、予算配分でも縦割りを排除し、総合的な見直しを行う。
 人事制度の改革では、階級や年齢構成のあり方を見直し、士を増やす一方、幹部・曹は減らして、一線部隊の精強性を高めていく。後方部隊は業務を整理して効率化していく。
 一方、新安防懇の提言にあった武器輸出3原則の見直しに絡む事項では、装備品の国際共同開発・生産に参加することで、高性能化やコストの高騰に対応することが先進諸国では主流となっていることを指摘、これらに対応するための方策を検討するとしている。
 防衛装備の整備目標となる「別表」では、陸自の編成定数を1000人減の15万4000人としたほか、地対空誘導弾部隊1個群減の7個群・連隊、戦車200両減の約400両、火砲も200門減の400門。海自は潜水艦部隊を4個隊から6個隊に増やすほか、護衛艦を1隻増の48隻、潜水艦を6隻増(延命)の22隻体制に。空自は警戒管制部隊を8個群から4個群・24個警戒隊としたほか、作戦用航空機を10機減の約340機、うち戦闘機は変わらず260機とした。
 BMDでは対応イージス艦を4隻から6隻にしたほか、警戒管制部隊が11個警戒群・隊、地対空誘導弾部隊を3個高射群から6個高射群とした。