自衛隊機 民間転用 制度設計着手へ
US2やCX 生産基盤維持に寄与

防衛省開発航空機の民間転用に向けた検討会で、専門的な見地から意見を述べる部外の有識者(8月20日、防衛省で)
防衛省は8月20日、防衛省が開発した航空機の民間転用に関する検討会(座長・岩井良行官房審議官)を開き、防衛省開発機の民間転用を推進していく方針をまとめた。厳しい財政事情で装備品の調達数量が年々減少、防衛生産基盤の喪失などが懸念されていることから、航空機関連企業の生産・技術基盤の維持・活性化につなげるため、US2救難飛行艇やXC2次期輸送機、XP1次期哨戒機の民間転用を念頭に有識者を交えて検討していたもので、今後、関係省庁と連携、民間転用を目指した具体的な制度設計に取り組む。北沢防衛相は検討会の席上「国を守る観点から生産・技術基盤は劣化させてはいけない。厳しい財政状況の中で、平和国家の理念は堅持しつつ、民間転用でコスト縮減が図れる」と述べた。
技術利用料などに算定基準 検討会が提示
検討会は、4月の第1回会合から防衛省開発機の民間転用を行う場合の問題点について、米国の状況や企業による開発経費の国への還元のあり方などを計4回にわたって検討してきた。
この中で民間転用の基本的な考え方として、防衛省開発航空機の民間転用が可能になることで開発担当会社は防衛省以外の市場を獲得することが可能となること、防衛省としても、企業による民間転用機の開発・生産・販売で、@わが国の防衛生産・技術基盤の維持・向上が図られA防衛省機と民間転用機の量産効果により価格が低減B防衛省機が民間転用機の整備の設備などを利用できる――というメリットがあると指摘。
この考え方を踏まえ、具体的な制度設計に向けた指針として、国に帰属する技術資料の利用料支払いのあり方、企業に対して発生する付随義務、民間転用機に使用できない装備品・技術、技術資料の秘にかかわるもの以外の原則開示などを示した。
検討会では、防衛省に帰属する技術資料の利用料の算定をどうするかが、知的財産権の問題とも絡み大きな焦点となったが、販売価格と数量に2%〜4%、利益金額に10%〜30%を乗じるとした基準率や、企業の寄与率の算出方法も提示。支払い存続期間は20年間としている。
この日の会合でXC2を製造する川崎重工の長谷川聡社長は「民間転用事業は直接的にはわが国の雇用の拡大につながる。さらに防衛生産基盤、航空機産業の基盤維持に資するもの」と評価。US2を製造する新明和工業の金木忠社長は「技術基盤維持と防衛予算の一層の効率化という官民双方のメリットのため尽力したい」と述べ、それぞれ民間転用の推進に大きな期待を示した。
これに対し北沢防衛相は「厳しい財政状況の中で、防衛装備に関わる企業の皆さんには迷惑をかけている。国を守るという観点からすれば生産・技術基盤の劣化はさせないようにしないといけない。民間転用が可能になればコスト縮減を図れる」と述べるとともに、「非核3原則、武器輸出3原則などは平和国家の持つ理念としてしっかり堅持していかねばならないが、アツものに懲りてなますを吹くような時代は過ぎた。人類に貢献できる技術は普遍的であるはず」との考えを示した。