4月の朝雲ニュース

4/29日付

ニュース トップ

飛行艇や輸送機 民間転用の道探る
技術の維持、価格低減は急務 識者交じえ検討会

 防衛省が開発した航空機の民間転用を検討する初会合に出席して意見を交わす部外の有職者ら(4月23日、防衛省)

 防衛省が開発した航空機の民間転用を検討するための製造関連企業などを含めた初めての検討会が4月23日、防衛省で開かれた。厳しい財政事情で装備品の調達数量が減少、防衛産業の生産技術基盤の低下や技術の喪失などが懸念されていることから、防衛省が開発したUS2救難飛行艇などを民間転用することで防衛産業の活性化を図るのが目的。北沢防衛相はあいさつで「年初の防衛関連企業の代表との懇談で重要な提言をいただいた。民間転用も一つの大きな要素。東南アジアなど島しょを抱える国々にとっても有為で、国際的にも評価されるのではないか」と述べ、積極的な姿勢を示した。検討会は月1回のペースで会合を持ち8月には報告書をまとめる予定。

消防飛行艇や貨物機構想も

 「防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会」は岩井良行官房審議官を座長に、内局各幕装備、技術担当課長をはじめ、外部有識者として日本航空宇宙工業会の今清水浩介専務理事、東大大学院の鈴木真二教授ら7人、関係省庁から経済産業省、国土交通省、宇宙航空研究開発機構、関係企業から川崎重工業、新明和工業が参加。
  会合の冒頭あいさつした北沢防衛相は、国の厳しい財政事情から装備品の調達数量が減少、そのため防衛技術基盤が喪失し、安定的な防衛力の維持・向上への影響が懸念されている状況を指摘した上で、「民間転用が進めば生産・技術基盤の維持・強化、装備品の価格低減にも相当寄与する。技術基盤の衰退は何としても食い止めたい」と強調。
  さらに「企業が中長期の技術戦略を立てる上で、防衛分野には先行きがないと不安を持つことになると大変なことになる」との懸念を示し、今後、陸海空装備品について開発企業と意見を交換し、防衛産業の活性化につなげたいとの意向を示した。
  また、民間転用で問題となる武器輸出3原則について北沢大臣は、「武器輸出3原則は守りながらも新しい道は模索できるのではないか」との考えを示した。
  この後、防衛省側から開発航空機の民間転用検討の背景とともに、民間転用の対象となっているUS2救難飛行艇やXP1次期固定翼哨戒機、XC2次期輸送機の概要を説明。
  US2の製造企業の新明和工業が同機の性能や特徴、消防飛行艇や旅客輸送、多目的飛行艇などへの民間転用案、諸外国の民間転用の取り組み事例などのほか、防衛省の技術資料等の利用や型式証明の取得、輸出関連手続きに向けた課題などを説明。
  川崎重工業からはXC2の貨物機転用の事業構想とXP1の開発成果の転用などの説明が行われた。
  この日の意見交換で防衛省は、民間転用に関する論点として@開発経費の企業から国への還元A転用機の知的財産の取り扱いB生産・運用に関する情報―などがいかにあるべきかの意見を有識者に求めたほか、防衛省・自衛隊側の論点として@民間への供与には問題がある装備品・技術A防衛省が保有する技術資料の民間への開示・使用―など、今後検討を要する事項が提示された。
  防衛省はこれら検討会の議事要旨をホームページに掲載して政策決定過程の透明化、責任の明確化なども図ることにしている。
  有識者委員は次の通り。
  ▽今清水浩介(社)日本宇宙航空工業会専務理事▽梶浦健治(財)日本航空機開発協会常務理事▽杉浦一機航空アナリスト・首都大学東京客員教授▽鈴木真二東京大学大学院教授▽中山一郎國学院大学法科大学院教授▽安江正宏(株)岡本アソシエイツ顧問▽山本武彦早稲田大学政治経済学術院教授。